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リリなのinボクらの太陽サーガ
エピソード3・始まりのオーメン
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って生まれたのかという疑問も残るんですよね」

まぁ、まさかそこから数学を用いて世界創造の始まりにまで考察が発展するとは驚いたけど、これはこれでなかなか興味深い考え方だった。他にも遺伝子論や神学を使ったものがあったけど、結局は何を基にして考察を進めるかで答えが違ってきていた。

「突き詰めればこの問題は、“ゼロ”がどこにあると考えるか、という話よね。こういう答えの出ない問題を話し合える人って世紀末世界だとあまりいないから、シャロンちゃんがしばらく旅に出るのは私も少し寂しいわ」

「レディさん……」

「あなたももうこの街の一員なんだから、ちゃんと無事に帰って来ること。いいわね?」

「はい!」

仲間だと受け入れてくれたことを改めて言葉にしてくれたレディに、私は力いっぱい返事をした。






とりあえず一通り知り合いには挨拶したため、後で来るように言われた棺桶屋の所へ向かった。全ての作業が終わったのかカチャカチャしていた音も聞こえず、扉を開けてガレージに入った私は、油汚れだらけの棺桶屋を見つけた。

「ふふふ……ついに例のモノが完成したんだ! 見てくれ!」

自信たっぷりに言う彼が見せつけてきたもの、それは……、

「自動車?」

次元世界でもよく見る四輪駆動の自動車。あっちの一般的なものと比べて、悪路を走破できるようにタイヤは大きく、車体も頑丈そうな構造になっていた。バギーの要素が入った車と言えばわかりやすいかもしれない。

「以前、ジャンゴくんに渡した棺桶バイクを作った時のノウハウを用いて、今度は自動車を作ったんだ。太陽エンジン搭載の魔法機械だから太陽の光がある限り燃料切れは起こさないし、たくさんの人も荷物も運べるようになった。これで移動もスムーズになるし、休憩中にアンデッドに襲われる危険も一気に減るから、生き残った街同士の交流もこれでより盛んになる!」

「パオーッ!」

彼のマネージャーの棺桶獣エレファンも、車の傍で元気よく声を上げた。彼らがこれだけ喜ぶのも無理はない。世紀末世界の文明はほとんどが廃れているから、乗り物なんてまず残っていない。自転車すらも。だからこの世界で街の移動や旅をする場合、手段は自ずと徒歩しかなくなる。故にこの自動車は人と人、街と街を繋ぐ架け橋となり、これから世紀末世界が再び復興する兆しとなるやもしれないのだ。

「棺桶屋さんって、実は凄い発明家なのかな……? ……あ!」

良いアイデアを思いついた私はポンと手を打ち、棺桶屋はまるでこちらの考えなど全てわかっているかのように笑みを浮かべていた。

それから店じまいを終えてきたザジとリタの二人と合流した私は、そのことを話した。自動車ならば歩きでは3日かかる距離だろうと1日で行ける。棺桶屋は早速この車で
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