エピソード3・始まりのオーメン
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う? それなら大丈夫よ、こっちで何とかするから」
その時、バタンッと図書館の扉が開き、やけに疲れた様子のハテナが凄い量の荷物を持って息切れしながら入ってきた。
「れ、レディ嬢……頼まれてた仕事、終えてきたぞ……!」
「ご苦労様、ハテナさん。でもごめんなさい、あなたにやってもらいたい仕事はまだまだたくさんあるの。申し訳ないけど、頑張ってくれるかしら?」
「お、おい……まさかまたミッションマラソンをしなければならないのか? もう勘弁してくれ!?」
「そう……わかったわ」
「む、やけに素直に受け入れてくれたな?」
「ジャンゴくんがいない今、あなたが倒れてしまったら多くのミッションが達成不可能になってしまうもの。ハテナさんにしか出来ない仕事だけど、あなたが無理だと言うのなら残念だけど……」
「私にしか出来ないだと……!? し、しかしここで口車に乗れば、またあのミッション三昧の日々に……! いや、それがわかっていてもなお、女のために頑張ることこそ真の漢というものだ!」
「は、ハテナさん……」
「私のことならば心配いらん、レディ嬢、シャロン嬢。さあ好きなだけミッションを言い伝えるがいい! ふっはっはっはっはっはっ!」
「あら、ありがとう。じゃあ早速だけど次のミッションは……」
自棄気味に笑うハテナに、さっきまでの同情的な雰囲気を一掃したレディは無常にも次の仕事を伝えていた。その光景を見て私は、今度帰ってきた時にでも皆でハテナを労ってやろうと哀しい涙をホロリと流しながら思った。
「ところでシャロンちゃん、あなたは中々の読書家だったわね。ここでよく本を探すあなたの姿を見たものだわ」
「え? ええ、まぁこの図書館の本は次元世界には無かったものも多くて、興味深いものが多かったです」
「この前は、卵が先か鶏が先かについての考察本を読んでたかしら?」
「はい。鶏がいなければ卵は生まれないが、卵がなければ鶏に育つことはない。どちらが先に存在しているかについて筆者なりの意見が書かれていました。それであの本の筆者は卵が先だと書いていました」
あの本の筆者曰く、我々が認識している“鶏”になる前の、鶏に限りなく近い生物から生まれた“卵”こそが始まりらしい。生物は常に進化や環境対応などの様々な要因で肉体や精神が変化するため、変化前と変化後では同じ生命体でも厳密な意味では違う存在、簡単に言えば進化論を基にしたが故に卵が先だという話だ。
「あくまで意見の一つだから、参考程度に留めておくのが無難でしょう。その本を読み終えた後に私は鶏が先だと考えた筆者の本も読みましたけど、あちらは鶏が卵を育てなければ、そもそも卵が孵化することはない、という考えから始まっていました。でも鶏が先なら、その鶏はどうや
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