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リリなのinボクらの太陽サーガ
エピソード3・始まりのオーメン
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ザジのその言葉にリタが苦笑するが、私は少し膨れっ面を浮かべた。というのも少し前、サン・ミゲルに近づいてきたアンデッドを街の皆で迎撃したんだけど、その時に私も戦闘に参加した。ザジは世紀末世界の魔法で、リタは徒手空拳で、レディさんはタロットカードで次々と倒していったのに対し、私はなぜかスケルトンフェンサー10体とスケルトンアーチャー10体の計20体に執拗に追いかけられて、必死に逃げる中、剣や矢での攻撃を刀で凌いだり飛び込みで避けたりしてばかりで、全然攻撃できなかった。助けに入ったレディ曰く、「まるでアンデッドの人気者ね」とのこと。そんなの全然嬉しくない。

その後、私は足が速い上に防御特化ということで、レディにちょっと無茶振りされた。不本意だけどアンデッドを引き付ける体質らしい私を囮に、周りを高台に囲まれた広い場所に敵を集め、後ろにある人一人が何とか通れる道を通って脱出、袋のネズミとなった敵を魔法などで一網打尽にするって作戦だった。結果だけ言えば成功したんだけど、続々と集まってくるアンデッドの大群を前にして恐怖で腰を抜かさなかっただけ、その時の私を褒めてやりたいぐらいだった。

「でもガチ泣きはしとったよなぁ……」

「マスターはたまにですが、容赦ないことを要求しますからね……」

「正直、アレは二度とやりたくない……」







旅立つこと自体はもう仕方ないとして受け入れたが、しばらく街を離れる以上色々話をしておく必要がある。私は一度ホームに戻り、留守番をしていたスミレに旅に出る話を伝えた。

「そうなんだ……皆いなくなっちゃうのは寂しいけど……すぐ帰ってくる?」

「うん、出来るだけ早く帰ってくるよ」

「……わかった。お姉ちゃん達がいない間、お留守番がんばるから、お兄ちゃんも一緒に皆で帰ってきてね」

そうやってスミレは健気に笑った。スミレも大きくなってきたけど、私と似て彼女は寂しさを人一倍強く感じる性格だ。それでも親しい人を笑顔で送り出せる辺り、私より精神的に強いのかもしれない。

「クロちゃん、スミレを頼んだよ?」

「ミャ!」

ホームの入り口の傍で丸くなっていた猫のクロにそう言うと、クロはまるで任せてと言わんばかりに鳴いた。

まぁ、スミレはザジとレディの指導のおかげで自衛できるように初級魔法を習得したから、アンデッドに襲われても何とか逃げられる程度の強さは身に着けている。しかも学習意欲も高いから、色んな知識を自ら進んで覚えようとする。あと数年もすれば、この子一人で大抵のことは全てできるようになると思う。なんていうか、将来が楽しみな少女だ。

そして……そんな彼女の父親と思しき彼、棺桶屋はガレージで何やら作業をしているとのこと。カチャカチャ音が聞こえる扉の外から呼びかけ
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