エピソード3・始まりのオーメン
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はあなた次第。でも、あなたがもし勇気を出して外に踏み出すのなら、この光が何かの役に立つように願う……』
その声が聞こえた直後、太陽樹の根元から小さな桃色の光の塊が放出され、それが私の胸に下がっているサバタさんからもらったお守りに集まり、そして何事も無いように光が収まった。お守りの効力が上がってはいないけど、それでも今の光には何らかの力を感じた。
よくわからないが、今の光が何なのか尋ねても太陽樹は先程までの応答が嘘だったかのように何も答えなくなったため、私はどうも腑に落ちないような気分でひとまずホームへ戻ることにした。予定とは違ったがちょっとした気分転換はできたので、今度はちゃんと寝ることにしよう。
『……あれは、どこかから流れてきた魂の欠片……消えかけていたそれを私が集めたもの。その光とどう向き合うか、私はここで見守ってあげるから……』
「探しに行きましょう!」
今朝、ホームに来るなり開口一番にリタはそう言った。恋する乙女だし、いい加減ジャンゴさんが帰ってくるのが待ちきれなくなったんだと思う。
「でもリタ、私達は並行世界を渡る力なんて持ってないよ? なのにどうするの?」
「そのような些事、私のジャンゴさまへの想いを込めた拳で……」
「無理だから。いくら鍛えても、拳一つで世界なんて渡れるわけないから」
「では、どうすれば次元世界に行けると思いますか?」
「私に訊かれても……そもそも私がこっちに来れたのはサバタさんのおかげだから、私自身の能力なんて関係ないし……。というかそういう探し物はザジさんかレディさんの方が……」
「お二人には既に相談済みです!」
「え、そうなの?」
「はい。ですがマスターからギルドに調査をお願いしても、ザジさまの星読みでも、満足いく結果は得られませんでした」
つまりもう探す当てが無くなったから、消去法で私に相談することになったと。しかし私も良い方法は思いつかな……あ。
「星読みで思い出したんだけど、先代ひまわり娘に訊いてみるのは……?」
「先代ひまわり娘さまですか! これは盲点でした……言われてみればその方法がありましたね! 早速出掛けてきま―――」
「待って待って!? 勢いに任せて即断即決を実行しようとしないで! そもそも先代ひまわり娘がどこに住んでるか、リタは知らないはずだよね!?」
「ではザジさまに訊いてきます!」
思い立ったが吉日、と言わんばかりにリタは突風のように宿屋へ走り去っていった。直後、「ちょっ、いきなりなんや!? にゃぁああああ!?」と、ザジの悲鳴が響いてきた。
なんていうか……けしかけるような形になってすいませんでした。
「謝っとる場合か! はよ助けんかぁー!」
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