エピソード3・始まりのオーメン
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元世界を全体的に見れば管理局と連邦の間で冷戦に近い状態になっているが、唯一のパイプ役とも言えるアウターヘブン社のおかげで大規模な戦闘は辛うじて喰い止められていた。管理局と連邦、二極化してきている次元世界において、アウターヘブン社はさながら避難所とも言うべき場所となっていた。
「これが今の次元世界や。元々あっちが出身のうちとしては、正直ハラハラして仕方あらへんわ」
「え、先代ひまわり娘さまは次元世界の出身だったのですか!?」
「そんなん、うちも初耳やったで!? 師匠はどうしてこっちの世界に来たんや?」
「世界中が戦争ばっかで荒れてたのもあるけど、まぁうちにも色々あったんや。あまり聞き出そうとせんといてくれへんか?」
「昔の次元世界の戦争……? ……失礼ですが、先代ひまわり娘さんの名前は……?」
「クレス。まぁ、うちの名前なんてどうでもええやん。とにかくあんたらが次元世界に行くつもりなのはわかったけど、今行くのは相当危険やってことはこの話で伝わったか?」
先代ひまわり娘―――クレスの言葉に、リタとザジは神妙な顔で頷いた。私は……正直、次元世界に戻るのが更に怖くなった。本当は行きたくない……でも、行かなきゃマキナ達と会えない。次元世界の人達は怖いけど……私も勇気を出して前に進まなきゃ、皆の隣には立てない。だから……頑張って、行ってみようと思う。
「決意は変わらんか……それでええ。少しでも決意が鈍った様子見せてたら、うちが直々に喝入れてたところや」
伝説の魔女が入れる喝って何だろう……? 呪いや言霊とか?
今の言葉でザジの血の気が引いて真っ青になっているのを横目に、そんな疑問を抱いた私がふと窓の外を見ると、いつの間にか夜になっていた。どうやら私の想像以上に長く話を聞いていたようだ。
「今日はもう泊まっていきぃ。ザジがアニマの器を使えるようにするにはどうすればええのか、明日までに星読みで占っといたる」
「では、お世話になります」
夜の世紀末世界はそこら中でアンデッドが闊歩している。今ではそれなりに数が減ったけど、野宿の危険は次元世界よりはるかに高い。下手すれば寝てる間にアンデッドに襲われて、気付かない内にアンデッド化していることだってあり得る。安全に寝泊りできるなら、素直に頼るべきなのが世紀末世界で生きていく者の常識だった。
夜も更けて空の月と星が綺麗に瞬く時刻、外に出た私はいつものように歌った。この世界で初めて旅に出たせいか、ちょっと眠れなかったのだ。それで寝る前の習慣にしている歌を歌えば、緊張もほぐれて眠れるかと思って、こうして夜の闇に私の子守歌を響かせている。
「La〜♪」
近くにある森の木々の葉が風で揺れる音がいい伴奏に
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