エピソード3・始まりのオーメン
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なかった。
「エレンのいるラジエルは、次元世界大戦回避のためにオーギュスト連邦を一からコツコツ作り上げたんや。色んな世界の戦争を止めていく傍らで、もっと大きな……世界が滅びかねない戦争を止める準備も進めとった。そもそもオーギュスト連邦は、あいつらに戦争を止めてもらった世界が多くを占めとる。管理局を抜け、公の場で行方不明扱いになっても、世界大戦が起こるのを防いだんや」
「エレンの奴……知らん間にどえらい危ない橋を渡っとんなぁ。一歩間違えればどちらの勢力からも裏切り者扱いされて自分達が討たれかねんのに、それでも……」
「えっと……ひとまず世界大戦は起きずに済んだ、という事でしょうか?」
「大戦一歩手前ぐらいやけど、一応はそうなるで。ただまぁ、これで問題が済んだわけでもあらへんのが、あっちの世界のややこしさを示しとる」
「管理世界のエネルギー資源不足……」
「正解や。大戦は止められたが、元凶とも言えるその問題は未だに残っとる」
無暗に勝手な権利を押し付けたり、争いを起こそうとしなければ、連邦は基本的に無害だ。大戦を止めたこともあり、管理局にいる良識派、穏健派の者達は彼らとの摩擦は起こさないように尽力した。しかし……管理世界にいる以上はどうしても見過ごせない点があった。それが、連邦に加盟した世界に眠る潤沢な資源。資源に飢えた管理世界の企業や組織にとって、連邦だけが資源を独占するのは受け入れられなかった。そのため彼らは……干渉してしまった。
だがそれは防がれた、連邦に付いたラジエルの手によって秘密裏に。というのも、まだ沈静していない状況下で連邦に管理世界が干渉すれば、今度こそ世界大戦が起こりかねない。だからラジエルは現在、管理世界から迫る干渉を全て防いでいる。さながら防波堤のように。
しかし早急にエネルギー資源などの交易を行わねば、管理世界の経済は破綻する。そうなれば多くの人間が路頭に迷う。それは紛れもない事実、逃れようのない現実だった。これまで他の世界から手に入れた資源で経済を回していた管理世界は、皮肉にも管理外世界の手によって天国の外側に追放されたのだ。まるで圧政に耐えかねた市民に、皇帝が討たれるかのごとく。
そんな彼らに手を差し伸べたのは……アウターヘブン社だった。この事態の発端となった爆破テロの被害を受けた組織ではあるが、PMCだからこそ中立でいられた会社。この会社のおかげで救われた管理外世界は、連邦に加盟した世界もしなかった世界も関係なく、この会社との協力体制を維持した。そして……これまで培った技術と人望、多くの発電施設などを全て駆使し、彼らは生産したエネルギーの販売を決定、管理世界に売り始めた。
その結果、管理世界はアウターヘブン社に依存しながらも、どうにか経済を維持できるようにはなった。次
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