エピソード3・始まりのオーメン
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の大群、それを前にしてもサバタは一切物怖じしなかった。たった一人で、そんな化け物達に挑んでいった。どれだけ傷つこうと、どれだけ絶体絶命になろうと……決して諦めなかった。戦いを見ている内に、サバタの目的が天球儀の破壊だと気づいた。敵は倒せずとも弱体化させ、破壊光線などの猛攻を潜り抜け、彼はとうとう天球儀の目前に迫った。サバタの暗黒剣が天球儀に振り下ろされようとした……刹那、彼は驚愕する。その一瞬の隙を突かれて、後ろからヴァナルガンドに噛みつかれた彼の瞳に映ったのは……。
「……………夢?」
月が静かに輝く深夜、ホームのベッドで目を覚ました私は、深く息を吐いた。さっきまで見ていたのが夢だと認識して、とても安心したからだ。だってあんな内容が現実にあったら、普通に怖いから。
怖い夢を見たせいで、ちょっと目が冴えちゃった。気分転換に少し散歩しよう。
「あ、今日は満月だったんだ」
冬が近くなってきたから外は少し寒いが、空気が乾燥しているおかげで空の月がより綺麗に見えた。こういう夜は月見酒が美味しいと昔アクーナの村長さんが言ってたけど、まだ未成年の私が飲酒するわけにはいかない。まぁ、将来の楽しみの一つではあるかな。
サン・ミゲルの中心にある太陽樹のふもとまで行くと、太陽樹は月明かりに照らされて青白く光っているように見え、そよ風が吹くと太陽樹の葉がさわさわと心地よい音を立てた。
「……やっぱり良い街だよね、サン・ミゲルは。アクーナのように離れたくない、ずっと住んでいたいと思えるほどに。でも……」
ヨルムンガンドが目覚めた余波で受けた被害は、街の皆の協力で一ヶ月のうちに修復した。とりあえずここで今すぐやらなければならないことは、一応無いと思う。だから、あの時突然私を襲った悲しみの正体を探りに行っても、皆の迷惑にはならないはずだ。むしろあれから行方不明のジャンゴさんを探せるという意味でも、好都合なのかもしれない。
だけど……それは次元世界に戻らなければならない、ということを意味する。正直に言って、私はあの世界が怖い……今でも怖くて仕方がない。マキナやマテリアルズ、ジャンゴさんが向こうにいると知っていても、やっぱり行くのを恐れてしまう。
『あなたは……外に出るのが怖いの?』
「だ、誰? ……も、もしかして、太陽樹……?」
『心に刻まれた恐怖が、あなたに旅立つことを恐れさせている。闇のイバラがあなたの心を縛り付けている』
「……あなたの言う通りだ。私は外に踏み出すことを恐れる、ただの臆病者だよ……」
『いいえ、あなたは暗黒の戦士から受け取った心の力を持っている。ただ、あの時の悲しみがそれに影を落としてしまっている』
「影……」
『影に光を当てられるか、それ
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