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レーヴァティン
第二話 異世界その十

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「わかる時はどちらかが死んだ時だけだ」
「またきつい話だな」
「そうだな、しかし死んで悲しいと思わない友達がいるか」
「そう言われるといないな」
「友達はその時にわかる」
「死んだら悲しいと思う奴が友達か」
「俺はそう考えている」
 英雄は久志と共に前を進みつつ彼に話した。
「死んで悲しいと思う相手が友達だ」
「お互いにだよな」
「生き残った方も死んだ方もわかる」
「死んだ奴は幽霊になって悲しんでいる奴を見てわかるってことか」
「そういうことだ、それが俺の考えだ」
「そういうものか、独特の考えだな」
「俺自身そう思う、そしてだ」
 英雄はさらに言った。
「このままこの道を進むと神殿に行ける様だが」
「地図だとな」 
 久志はここで地図を開いて英雄に話した。
「そう書いてあるな」
「しかしそのまま順調に行けると思うか」
「それはないだろ」 
 あっさりとだ、久志は英雄に答えた。
「神父さんが言ってただろ」
「この島はだな」
「随分治安が悪くてな」
「モンスターや巨人が出てだ」
「盗賊だの出て来るらしいな」
「そうだ、ましてや俺達みたいな少人数だとだ」
 それこそとだ、英雄は無表情のまま前を進み久志に言った。
「モンスターでも盗賊でもだ」
「格好の狙い目だな」
「俺達は金はないが剣に服がある」 
 こういったものがというのだ。
「わかるな」
「そうしたものを奪って売っ払う」
「そうして金になるな」
「金目のものは何でも奪う」
「それが盗賊ってやつだな」
「そういうことだ、このまま神殿に楽に行けるか」
 英雄は淡々と話していく。
「どう思う」
「まあないな」
 久志も英雄にこう返した。
「こういう時はな」
「そうだな、必ずだ」
「何か出て来るものだよ」
「それがお約束ってやつだな」
「お約束かどうかはわからないが」
「それでもか」
「そうだ、出て来るものはだ」
 まさにというのだ。
「出て来るものだ」
「何か理由になってないな」
「世の中理由にならないことも多いと思うが」
「そうか?」
「俺はそう思っている、理不尽なこともある」
 世の中にはというのだ。
「盗賊連中が出て来ても何が出て来てもだ」
「理由にならないことも多いか」
「そんなものだ、だがまずは神殿までだ」
「行くか」
「そうするとしよう」 
 こんな話をしてだ、二人で森の道に入りさらに先を進んだ。そうして二刻程歩いているとやがてだった。
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