暁 〜小説投稿サイト〜
ソードアートオンライン 無邪気な暗殺者──Innocent Assassin──
OVA
〜暗躍と進撃の円舞〜
前提こそ真実を孕む
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体としては
盗賊
(
シーフ
)
という匂いが強い。だが、そうした記号はあまりその少女を表さない。
その少女を表したいなら、もっと直接的なポイントがあった。
例えば、まだ成熟しきっていない臀部から伸びる長い尻尾だったり。
例えば、頭部から飛び出るように聳える猫のような三角耳だったり。
例えば、その耳にフィットするように編んであるニット帽だったり。
その少女は、夜の森をすいすいと歩いていく。複雑に大木の根が絡み合い、真っ昼間でもスッ転ぶ可能性がある森の中を、である。
それもそのはず。彼女の種族であるケットシーには、高い視力補正がある。それに加え、彼女自身が鍛えたスキルも併用すれば、夜の森でも今の少女にとっては真昼も同然だろう。
それにかこつけてか、少女はロクに足元も見ず、上機嫌に鼻唄でも歌いだしそうな調子だった。
少女は言う。
鈴を転がしたような声で。
「くっくくく、あっはは!ぎゃはは!ぎぃぁははははひひひひひッッ!!!あー笑う、こんなの笑う!笑い死ぬ!!ぐっふぃひひひ☆」
何か。
決定的な部分がズレたような嗤い声だった。
道端ですれ違った絶世の美女がその足で男子トイレに入っていくのを見たような、そんな根幹部分での違和感がある。
横隔膜を痙攣させるように哄笑する少女は、目尻に浮いた涙を拭き取る。
「スプリガンもケットシーも、予想通り動いてくれた!まぁ、想定外といやぁサラマンダーだが、これっくらいは誤差の範囲内だろ!きッしししし!!ケットシーはスプリガンの手のひらの上から脱したように思ってたけど、残念でしたまだ
オ
(
・
)
レ
(
・
)
の射程圏内でした♪」
大げさな手振りを加えて、決定的な何かが欠落した少女は巨木の根をまたいだ。
「それにしても、くっくっく☆スプリガンがやり直せる?んなわきゃねぇだろ
偽善使い
(
フォックスワード
)
!!ケットシーがやり直せたのは、《
終焉存在
(
マルディアグラ
)
》っつー強い輝きと、あくまで地盤――――運営に与えられた
各種高補正値
(
ギフト
)
があったおかげだろう!?それさえもねぇゴミ溜めみてぇな種族が、これ以上行くわきゃねぇだろうが!あっひゃ、ひゃひゃひゃひひひひっ!!」
小柄な身体をくの字にしてまで、彼女は歩みを止めない。
大きな三角耳は、彼女の機嫌を表すようにニット帽の下でぴくぴく動いていた。
「けけっ、うけけききゃきゃきゃっ!ゴキブリのほうが、まだ脳ミソがフルに働いてんじゃねぇの!?あの
領主
(
ウジ虫
)
野郎がリタイアした時点で、スプリガンの運命は決まったも同然だ!有象無象のクソ平和主義のことなかれ主義のゴミ虫どもに、ケットシーに抗う意思なんて浮かぶわけがねぇ!!ツバ吐き捨てられても殴る勇気もない連中に、これ以上肩入れしても時間の無駄
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