暁 〜小説投稿サイト〜
銀河英雄伝説〜美しい夢〜
第二十三話 元帥杖授与式
[4/6]

[8]前話 [1] [9] 最後 最初 [2]次話
マントとピンクのサッシュを付けよう。その後は汚れるからと言ってサッシュを黒系統の色に変える。そして時間をおいてマントも黒に変更だ。少しずつ、少しずつ既成事実を積み上げるんだ。この手の問題は焦っては駄目だ、まして女相手にはな……。

式部官が何か声を張り上げてるな、フリードリヒ四世が来やがったか。どうせなら二日酔いでアンネローゼの所でひっくり返っていれば良いのに……。しょうがない、そろそろ準備するか……。
「ブラウンシュバイク公、エーリッヒ殿!」
分かった、分かった、今行くよ……。



帝国暦487年  4月 13日  オーディン  新無憂宮   黒真珠の間   ナイトハルト・ミュラー



古風なラッパの音が黒真珠の間に響く。その音とともに参列者は皆姿勢を正した。もちろん俺もだ、こんなところで不敬罪などで捕まりたくはない。

「全人類の支配者にして全宇宙の統治者、天界を統べる秩序と法則の保護
者、神聖にして不可侵なる銀河帝国フリードリヒ四世陛下の御入来」
式部官が声を張り上げると帝国国歌の荘重な音楽が黒真珠の間に流れた。そして参列者は皆深々と頭を下げる……。

そろそろ良いかな? 頭を下げたまま周囲を窺う。皆まだ頭を下げたままだ、もう少しか……。周囲が頭を上げ始めた。ゆっくりと俺も頭を上げると皇帝フリードリヒ四世が遠目にも豪奢な椅子に座っていた。あれ、どんな座り心地なんだろう……。

黒真珠の間には大勢の人間が集まっていた。皇帝の玉座に近い場所ほど帝国の実力者と言われる大貴族、高級文官、武官がたたずんでいる。彼らは幅六メートルの赤を基調とした絨緞をはさんで文官と武官に分かれて列を作って並んでいた。

一方の列には文官が並ぶ。国務尚書リヒテンラーデ侯、カストロプ財務尚書、フレーゲル内務尚書、ルンプ司法尚書、ウィルへルミ科学尚書、ノイケルン宮内尚書、キールマンゼク内閣書記官長。

反対側の列には武官が並ぶ。エーレンベルク元帥、シュタインホフ元帥、クラーゼン元帥、オフレッサー上級大将、ラムスドルフ上級大将。

ブラウンシュバイク大公は名目だけとは言え元帥位を得ている事から武官の側に並んでいる。そして今日、ブラウンシュバイク公爵家からもう一人帝国元帥が誕生する。エーリッヒ・フォン・ブラウンシュバイク公爵だ。

「ブラウンシュバイク公、エーリッヒ殿!」
式部官の朗々たる声がエーリッヒの名を呼んだ。その声とともに絨毯を踏んで粛々とエーリッヒが陛下に近づいてくる。

黒の軍服に身を包み、元帥に昇進することから肩章、マント、サッシュを身に纏っている。マントの色は白だ。そして薄い上品なピンクのサッシュと金の肩章をつけている……。結構お洒落だな、軍人というよりは何処かの貴族の若様といった風情だ。華奢で小柄だし顔立ち
[8]前話 [1] [9] 最後 最初 [2]次話


※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりをはさむしおりを挿む
しおりを解除しおりを解除

[7]小説案内ページ

[0]目次に戻る

TOPに戻る


暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ

2024 肥前のポチ