第三十八話 リュエージュ防衛戦・後編
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幹部は、遂には内ゲバを始めた。
「……何やってんだ、あいつら」
遠くから反乱軍の同士討ちを見て、思わず呟いたマクシミリアン。
「殿下、これは好機では?」
「これは、カリーヌ夫人」
マクシミリアンの居る塔の天辺に、カリーヌ夫人がマンティコアを駆って現れた。
「そうですね……諸侯軍や別働隊も来ていますし、僕も好機だとは思います。ですが、この戦闘の責任者はグリアルモントです。彼の意見を聞きましょう」
「御意」
マクシミリアンは、セバスチャンらを連れグリアルモントの居る司令部に移動した。
司令部ではグリアルモントやジェミニ兄弟たち参謀らが追撃の為の協議をしていた所だった。
「これは殿下」
「状況は?」
「現在、敵追撃の編成中です」
「僕が言わずとも追撃するつもりの様だったね」
そこに一人の家臣がやって来た。
「報告します! 王軍が来援! 国王陛下御自ら指揮されておられるようです!」
「父上まで来たか。グリアルモント!」
「御意、直ちに我々も打って出ましょう」
いよいよ、戦闘は最終局面に入った。
……
ロケット弾の飽和攻撃で大混乱に陥った反乱軍に、諸侯軍と王軍が雪崩れ込み、そこに烈風カリンと、リュエージュ市に篭もっていたマクシミリアン軍も加わった。
「賊軍よ! 王太子殿下の名の下に、我が杖によって成敗されるが良い!」
仮面を被ったカリーヌ夫人はマクシミリアン軍の先鋒を請け負った。その状況を一言で現せば、それは『蹂躙』だった。
「うーむ、カリーヌ夫人張り切ってるな」
「お母様も今までの鬱憤が溜まっていたのでしょう」
マクシミリアンが塔の上でカリーヌ夫人の武勇を見ていると白衣姿のカトレアが現れた。
「カトレア」
「申し訳ございませんマクシミリアンさま。駄目と言われているのに来てしまいました」
「ま、気持ちは分かるよ、僕も何度か会いに行きたかった事もある」
クシミリアンは、自分が座る木箱の隣にハンカチを置いて、カトレアに座るように促した。
「お隣失礼いたします」
カトレアはちょこんとマクシミリアンの隣に座った。
「僕らの結婚式は内乱のせいで延期になったけど、この戦いが終われば一緒になれるよ」
「そうですね。でも……」
カトレアは、烈風カリンに蹴散らされる敵兵を見て悲しそうな顔をした。
「どうしたカトレア。人が死ぬところを見て気分が悪くなったか?」
「いいえ、マクシミリアンさま。この戦争は避けられなかったものなのか、それが気になりまして」
「う〜ん、それは分からないな。そもそもこの戦争の発端は僕の責任だけど、だからと言
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