第三十八話 リュエージュ防衛戦・後編
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線の先のロケット砲陣地から無数の煙が打ち上げられると、その煙は空中で弧を描く。
ヒューヒューヒューと、甲高い唸り声を上げて百を越すロケット砲弾が反乱軍に向けて雨の様に降りかかってきた。
「うわぁぁぁぁーーーーっ!!」
「ぎゃぁぁぁぁーーーーっ!」
『地獄』という言葉がこれほど似合う光景は無いだろう
逃げようにも、ロケット弾の飽和攻撃に反乱軍は為す術もなく、ロケット弾の雨は、2万の反乱軍を貴賎問わず平等に肉片へと変えた。
マクシミリアン軍が、目の前の惨状に呆然としている頃、グラモン伯爵に指揮された王党側の諸侯軍が来援した。
「諸侯軍参上! 栄光あるトリステイン王国に弓引く反乱軍ども! このグラモン伯が相手になるぞ覚悟は良いな!」
と威勢よく口上を垂れたが、目の前の光景に振り上げた腕で頭を掻いた。
「……これでは、我々の出番が無いではないか」
グラモン伯だけではない。
モンモランシ、グランドプレ等々、王党側についた諸侯の面々がこの光景を見ていた。
「あれは魔法なのかね? グラモン伯」
モンモランシ伯がグラモン伯に問うた。
「あれは魔法では無い。確か、『カガク』と言ったか」
「ううむ、凄まじい威力だが少々やり過ぎではなかろうか」
「……忌々しいが時代が変わったということか」
困った顔でグラモン伯はそう答えた。
諸侯軍が、反乱軍の状況を遠くから見て、手を拱いていた時、援軍の来援を待っていたマクシミリアン軍の別働隊が攻勢をかけた。
ダグーに率いられた別働隊は、6リーブル騎兵砲8門を素早く展開し、大混乱に陥っている反乱軍に砲撃を加えた。
反乱軍にとっては泣きっ面に蜂だろう。
ここでロケット砲陣地の放火が止んだ。どうやら備蓄のロケットを全て撃ち尽くした様だった。そこに、ダグーの絶妙のタイミングで、反乱軍に銃撃をかけた。
地獄から開放されたと思った矢先の銃撃に、最早反乱軍に規律は存在しなかった。
……
「降伏だ! 降伏しよう!」
「何を勝手に降伏しようとしている! 我らはまだ戦えるぞ!」
「いやいや、ここはまず、逃げ……後退すべきだろう」
元々、大して戦略も無く、無理やり蜂起させられた感のある反乱軍。軍内は常に意思の不一致が見られた。
「そもそも私は反乱なぞしたくなかったんだ!」
「何を今更! 栄光あるトリステイン貴族なら覚悟を決めろ!」
「何か食い物は無いか? ここ数日何も食べてないんだ」
完全にグダグダの反乱軍。
「みんな、お前らの責任だ! 責任を取れ責任を!!」
一人の貴族が杖を振るった。
「ぐわぁ!? 何をする!」
そんな反乱軍
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