第三十八話 リュエージュ防衛戦・後編
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ら発砲だ」
「了解」
ジリジリとした焦燥感が砲兵達を襲う。
そして、味方の軽竜騎兵が急上昇をして、敵航空戦力が300リーブル砲の射程内に現れた。
「撃てぇぇぇぇぇーーーー!」
ズガァァァーーン! と腹の底が押し上げられるような衝撃が砲兵達を襲った。
300リーブル砲の巨砲から放たれた砲弾は、『ぶどう弾』と呼ばれる一種の散弾で、マスケット銃の小弾が詰まっている様がぶどうに似ている事からそう呼ばれ、本来は近距離用の対人兵器でだった。
大量の小弾は、空中の風竜やグリフォンなどの比較的外皮の薄い幻獣には効果覿面で、殆どの高スピード低装甲の幻獣が撃ち落された。
「よし、次のステップに入る」
グリアルモントが命令を出すと、今まで逃げ回っていた軽竜騎兵が空中を返す刀で急降下し、混乱した敵の航空戦力に襲い掛かった。
軽竜騎兵が襲撃を加えると、ミニエー銃を持った歩兵達が軽竜騎兵の攻撃の合間をぬって発砲し、息つく暇もない攻撃に戦力を減らしていった。
セバスチャンの対戦車ライフルも火を噴いた。
最初の標的は、鈍重で装甲の厚そうな巨大ドラゴンだ。他の幻獣とは一線を画しており、おそらく火竜種だと思われるがとても巨大だった。
轟音と共に放たれた徹甲弾は、乗っていた貴族諸共ドラゴンを易々と貫通した。落ちてゆく貴族の上半身は無い、即死だろう。
他にも数発、幻獣ごと貴族を狙撃するとマガジン内の弾を撃ち尽くしたのか『ボーイズ対戦車ライフル』を置き、別の大型ライフルを取り出した。場違いな工芸品は『拾い物』で、予備の弾薬は無く作る技術も確立されていない為、基本的に使い捨てだった。
新たに取り出した場違いな工芸品は『デグチャレフPTRD1941』、地球の旧ソヴィエト製の対戦車ライフルだ。
セバスチャンは先ほどを同じように全弾撃ち尽くしては、新たなライフルに変えて戦い続けた。
各員の奮闘のおかげで、散々に打ちのめされた反乱軍は、退却しようにも軽竜騎兵が追撃を掛け、それぞれの魔法と銃身の短いカービン銃(非ライフリング)で反乱軍の航空戦力は完全に壊滅した。
地上、空中の見事な連携にマクシミリアンもご満悦だった。
「お見事、と言っておこう」
「この戦闘で敵の航空戦力は壊滅したようです」
「これでリュエージュ市内に直接攻撃される事は無くなったな」
「御意」
「市内への被害の事だが、グリアルモントのいう事にも一理ある。よって被害に関しては王国の名の下に保障させる。これからもその辣腕を振るってくれ」
「ありがとうございます」
☆ ☆ ☆
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