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マクロスフロンティア【YATAGARASU of the learning wing】
試練
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「心外だな。」

突如、『頭上から』声が降ってくる。次いで大きな足音。

「ゼントラーディの武器なんだ。たかだか数千年でつまらん動作不良など絶対に起こしはしない。」

「……牽引ご苦労、クラン。」

「気にするな。新入りの面倒を丸投げした詫びだ。」

深紅のクァドランから降り立つ青髪の女性のゼントラーディ。ピクシー小隊の隊長であるクラン・クラン大尉だ。一応、俺やクレイの同期に当たる。

戦場に遅れて駆け付けたクランに、アルトのVF-25を運んで貰ったのだ。

「……まあいい。翼、巻き込まれたお前としてはどうだ。何か言うことはないか?」

……なるほど、口で言っても聞きそうにないから俺に丸投げですか。少佐も随分と無茶を押し付けてくれる。

仕方ない。ここは一つ、当事者として言い聞かせてみますか。

「……アルト、お前は戦いが怖いか?」

「………平気だ。」

「そうか、俺は怖い。」

アルトの奴、鳩が豆鉄砲食らった様な顔してるぞ。そんなに意外か?

「怖いからこそ、危険には敏感になるし、何よりこうして生きて帰ってこれる。……戦場で逸るな、死ぬぞ?」

「っ!?………。」

或いは図星だったのか、俺の言葉に一瞬体を硬くしたアルト。

「それで、どうだ?模擬戦の対戦相手から見てコイツは。」

……まあ聞かれるだろうとは思ってましたよ。

「そう、ですね。前衛の癖に後衛とあっさり分断され過ぎですし無策の突撃も単純思考故のもの。はっきり言って未熟、の一言に尽きます。」

取り敢えず落とす。容赦なく、ばっさりと。いかに図太いアルトと言えども流石に堪えた様だ。

「ですが、度胸はありますし……一対一でフィーナを撃墜する腕前もまあ、本物でしょう。素質もある。」

「……結論は?」

「実戦に放り込んで一度死にかけでもすれば、かなりまともになると思います。」

「フッ、容赦がないな。いいだろう。早乙女訓練生!」

「は、はい!」

「最終入隊試験の結果を言い渡す!」










「「「「「カンパーイ!!!」」」」」

アイランド1内にある中華料理店『娘々』。今日、ここはS.M.Sの貸し切りになっている。理由は……言わなくても分かるだろう。

「スカル4、早乙女アルト准尉ねぇ。」

クレイがどこかからかうような表情で呟く。そう、アルトの正式入隊が確定したのだ。

「で、実際の所はどうなんだ?先輩としては。」

「……まだ精神的な幼さが目立つな。まあ普通の17歳と言えばそうなんだけどな。」

「………?じゃあなんで合格にしたんだ?」

「センスと度胸は本物だからな。……下手に宙ぶらりんにしとくと余計な事を起こしかねない
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