第四十八話 進路を決めてその十
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「推薦行けるぞ」
「本当ですか?」
「ああ、だからな」
「秋の推薦入試ですね」
「受けるな」
「はい」
返事は一言だった。
「それなら」
「わかった、じゃあな」
「そうしてですね」
「神戸に行って来い」
「そうさせてもらいます」
「いや、御前の場合は戻るか」
先生は優花の過去は知らないがそうした事情は知っていてそのうえで応えた。
「元々あそこにいたからな」
「そうなりますね」
「じゃあ長崎からな」
「一旦神戸に戻って」
「テスト受けて来い、いいな」
「わかりました」
「模試の査定もAだったからな」
八条大学文学部へのそれがだ。
「だから絶対に大丈夫だ、ただしな」
「それで油断しないで」
「受けて来い、いいな」
「わかりました」
優花は先生に明るい顔で答えた、そしてこの話をだ。
優花はその日のうちに電話で優子に話した、優子はその話を聞くと明るい笑顔で言った。
「それはよかったわね」
「うん、じゃあその時はね」
「こっちに戻って来て」
「それでお家に泊まって」
二人の本来の家にというのだ。
「受験行くわね」
「そうしてね」
「久しぶりにあの学園に行くのね」
八条学園にとだ、優花は懐かしさを感じて笑顔になっていた。
「そうなるのね」
「そうね、そう思うと嬉しいでしょ」
「ええ」
ここでも心から答えた。
「そうなの、本当に」
「それじゃあ余計にね」
「体調を整えて」
「こっちに来てね、晩御飯は姉さんが作るわ」
「そうしてくれるの」
「ええ、海草サラダに南瓜のポタージュに」
どちらも優花の好物だ。
「それにステーキと豚カツも用意するわね」
「テキに勝つね」
「縁起も担ぐから」
「姉さん高校入試の時も作ってくれたわね」
「そうよ、縁起は担ぐものよ」
電話の向こうの妹に対して言った。
「少なく共私はそうしてるわ」
「そうよね、姉さんは」
「それで合格出来たらいいでしょ、美味しいし」
「ステーキに豚カツも」
「そうでしょ、だからね」
「いつも入試の時は作ってくれるのね」
「そうよ」
妹に笑顔で告げた。
「そうしてるの」
「そうなのね」
「じゃあいいわね」
「ええ、ただね」
「ただ?」
「姉さんのステーキって大きいわよね」
「五百とか普通に焼くわね」
自分でもそれはわかっている、そのうえでの返事だ。
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