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遊戯王GX〜鉄砲水の四方山話〜
ターン69 封印の神と『D』
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エド、この近くに川や池とかない!?」
「いや、ここに来るまでに水場なんて見ていないな」
「だ、だとしても今からでも探しに……」
「やめるノーネ、シニョール清明。夜は危険が危ないノーネ」

 僕の水妖式デュエルディスクは、水を入れなければただの腕輪でしかない。覇王戦で貯水しておいた全てを使い切ったせいで、今の僕はデュエルをすることすらままならない。クロノス先生の心配もよくわかるけれど、この世界での唯一の武器が使えない方がよっぽどリスクが高いし危険だ。
 だが立ち上がったその時には、もうすでに手遅れだった。さっきまで雲一つなかった夜空がぼやけたかと思うと、動く間もなく濃い霧が流れ込んできたのだ。これまで霧の王に何度か霧を出す魔法を頼んでいた僕にはわかるが、この異様なスピードは明らかに人為的なものだ。何が目的かはわからないけれど、視界が塞がれた以上下手には動けない。
 沈黙のうちに時間が過ぎ、やがて霧が晴れてきた。一体どんな術を使ったのか、先ほどまで屋外にいたはずの僕らはなぜかどこかの洞窟の中にいる。でもそんなことより、目の前の人間の存在が問題だった。不気味で冷酷な笑みを浮かべる、眼鏡をかけたその男。どう考えても、この霧はこの男が引き起こしたのだろう。

「……アモン!」

 案の定、再会を喜び合うなんてことはできなかった。アモンの語った自らの話は、それを聞く僕らを驚愕させるには十分すぎる破壊力を持っていた。久々に見る異形の腕……それを見て呟いた十代の言葉を借りるならば、ユベルの腕。その力のみに飽き足らず、この地に眠るという神の力をも求めてエコーを贄にせんと迫るアモン・ガラム。そしてそれを阻止すべく立ちはだかったダークヒーロー、エド・フェニックス。
 正直何が起きているのか、僕にはアモンの話をすべて聞いてもよくわからない。むしろわかりたくない、というのが正しいか。あれだけの力と物量でこの世界を実際に統一しかかった覇王の裏で、こんな物騒なことが進んでいたなんて。それじゃあオブライエンが、ジムが、そしてケルトや大賢者が命を捨ててまで僕に託してきたものは、一体なんだったんだ。覇王の人格を倒し十代に戻せば、この世界にも平穏が戻るはずじゃなかったのか。それなのに目の前で、覇王と同等の力を持った存在が野心に燃えて動き出そうとしている。狙いの神とやらがなんなのかはわからないが、その力で覇王に対抗しようとしていたということは恐らく覇王の象徴、超融合と同等以上に危険な力を秘めているのだろう。アモン、なんなんだお前は。ようやく戦乱が止まり小休止を迎えたこの世界に、何の権利があってこんなことをするってんだ。
 しかも、覇王とアモンには決定的な違いが1つある。覇王軍の生み出した犠牲は、無差別な侵略により生まれたいわばランダムなものだ。だがそれとは違い、アモンは確
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