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真田十勇士
巻ノ八十四 高野山その六

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「よいな」
「はい、承知しております」
「我等もです」
「そしてそのうえで」
「時が来れば」
「暴れてやりましょうぞ」
「父上が言っておられる」
 幸村はこうも言った。
「時は必ず来るとな」
「また天下が動くのですな」
「その時はですな」
「間違いなく来る」
「だからこそですな」
「今は鍛錬じゃ」
 それに励むべきだというのだ。
「そうしようぞ、日々な」
「ここは鍛錬にはいい場所ですし」
「是非共励むべきですな」
「汗をかいていく」
「毎日ですな」
「そうするのじゃ、ではこの鍛錬の後はだ」
 幸村は草木の間を風の様に駆ける、だが木の枝を全て見事に避けて怪我をすることはない。それは十勇士達も同じだ。
「飯にしようぞ」
「ですな、ではです」
「用意してある麦の握り飯を食いましょう」
「そうしましょうぞ」
「うむ、麦飯を食ってな」
 その握り飯をというのだ。
「少し休んでだ」
「それからもですな」
「鍛錬に励む」
「そうしますか」
「是非な、それとじゃが」 
 ここでまた言った幸村だった。
「夜は学問じゃ」
「殿はですな」
「そちらも励まれますな」
「そうされますな」
「うむ」
 その通りという返事だった。
「そうする、幸い高野山がどんどん書を貸してくれるらしい」
「書をですか」
「高野山がですか」
「あちらにはかなりの蔵書がありますが」
「それをですか」
「うむ、そうしてくれるということだからな」
 それでというのだ。
「是非読ませてもらう」
「ですか、こちらでもですな」
「鍛錬と学問に励まれる」
「そうされるのですな」
「そうじゃ、励みに励み」
 そうしてというのだ。
「またな」
「はい、また世に出た時は」
「その時に充分な働きをしましょうぞ」
「戦になれば大暴れしましょうぞ」
「我等十一人で」
「そうじゃ、ではこのまま飯の時まで鍛錬じゃ」
 幸村はその言葉通り鍛錬を続けた、そしてだった。
 実際に麦飯のお握りも食ってだ、また日が落ちるまで修行をしてそれからは風呂に入り晩飯の後は書を読んだ。この日はそうして過ごし。
 次の日もだった、彼は修行を続けてだ。十勇士達にこうも言った。
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