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オズのアン王女
第九幕その三

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 ここで、です。ふとでした。
 車がです、地面の中から出てきました。
「車が?」
「急に出て来たけれど」
「あれは一体」
「何かしら」
「ああ、あの車はね」
 ドロシーはこのことにも答えました。
「ノーム王の車よ」
「あっ、そうなんですか」
「急に出てきましたけれど」
「地上に」
「まるで浮かび上がるみたいに」 
 地面から出るのではなくすり抜けた感じで出て来たのです。
「それは、ですか」
「ノーム王の車で」
「じゃああの車にですね」
「カリフ王が乗っておられるんですか」
「そうよ」
「あの車はキャデラックでね」
 トトは車の種類についても言いました。
「高級車だね」
「あっ、そういえば」
 ここで気付いたのはジョージでした。
「あの車は」
「そうだね」
「うん、キャデラックだよ」
 まさにとです、ジョージはトトに答えました。
「あの車は」
「この世界にもあるんだ」
「それでノーム王も乗ってるんだ」
「ノーム王は他にも色々と立派な車を持ってるけれどね」
「あのキャデラックがなんだ」
「一番のお気に入りなんだよ」 
 トトもその車を見ながらジョージにお話しました。
「何しろ水上も水中も地中もね」
「何処でもだね」
「自由に動けるからね」
「へえ、凄い車だね」
「オズの国らしいね」
「うん、不思議だね」
「そうした車なんだ」
 まさにというのです。
「あの車は」
「何か乗ってみたいね」
「そう思うよね」
「うん、お話を聞いてるとね」
 ジョージにしてもです。
「乗りたくなったよ」
「そうだね」
「そう、それと」
「それと?」
「ノーム王はあの車に乗っておられるんだよね」
「そうだよ」 
 すぐにです、トトはジョージに答えました。この時もです。
「今来られたんだ」
「そうなんだ」
「すぐにアン王女を呼びましょう」
 ドロシーは皆に言いました。
「カリフ王が来られたから」
「それじゃあ」
 トトはドロシーにも応えました。
「僕が行って来るよ」
「それじゃあね」
 こうしてでした、トトが宮殿まで行ってでした。残りの皆でカリフ王を迎えるのでした。敷きものも畳んで収めて。
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