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亡命編 銀河英雄伝説〜新たなる潮流(エーリッヒ・ヴァレンシュタイン伝)
第十九話 帰還
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続いていますがその中で勝敗が明確についた戦いよりつかなかった戦いのほうが多いのです。
前回、アルレスハイム星域の会戦でも同盟軍が圧倒的な勝利を収めましたが、あれは遭遇戦でしかも会戦の規模は両軍合わせても一万五千隻程です。政府や軍は大勝利と宣伝しましたが同盟市民にとってはそれほど感銘を受けるものではなかったでしょう。むしろサイオキシン麻薬を使った帝国の陰謀を打ち破った戦い、というのが同盟市民の一般的な受け取り方です。
それに比べれば今回は両軍合わせて約六万隻の艦隊がヴァンフリート星域で対決したのです。そして帝国側は基地の存在を知らなかったようですが同盟側の目的ははっきりしていました。
基地を守り次のイゼルローン要塞攻略へ繋げる、言わば第六次イゼルローン要塞攻略戦の前哨戦と認識していたのです。この会戦の結果次第では第六次イゼルローン要塞攻略戦は延期という事もあったはずです。
しかしヴァンフリート星域の会戦は同盟軍の大勝利で終わりました。ヴァンフリート4=2の基地は守られ最終的には帝国軍は五割近い損害を出して敗北したのです。
この会戦の勝利の立役者は間違いなくヴァレンシュタイン少佐です。少佐の存在無しではヴァンフリート星域の会戦はどうなっていたか……。基地は破壊され同盟軍は敗北していたかもしれません。
ハイネセンのマスコミはヴァレンシュタイン少佐の活躍、孤立した基地を守り味方増援が来てから反撃した沈着さと用意周到さを絶賛しています。そして少佐を登用したシトレ元帥の識見をこれでもかというほどに賞賛しています。もっとも今回は少佐がマスコミに答える事はありません。体調不良ということで全て断わっています。
ヴァレンシュタイン少佐は第五艦隊旗艦リオ・グランデに居る間、貧血で倒れました。リオ・グランデの軍医の診断によれば原因は睡眠不足と栄養失調だそうです。しばらくは安静にする必要があるとの事でした。そしてハイネセン到着後は市内の軍中央病院で入院しています。
今、私の目の前にはベッドに横たわる少佐がいます。顔色はよく有りません、蒼白い顔をしています、呼吸も浅く少し苦しそうです。疲れているとは思っていました、でも倒れるほどに追い詰められているとは思っていませんでした……。
“貴官らの愚劣さによって私は地獄に落とされた。唯一掴んだ蜘蛛の糸もそこに居るヤン中佐が断ち切った。貴官らは私の死刑執行命令書にサインをしたわけです。これがヴァンフリート星域の会戦の真実ですよ。ハイネセンに戻ったらシトレ本部長に伝えて下さい、ヴァレンシュタインを地獄に叩き落したと”
あの時の少佐の言葉が胸に刺さったまま取れません。少佐の言ったことが真実なのかどうかは分かりません、或いは少佐の勘違いなのかもしれないと思います。ですが少佐が地獄に叩き落された
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