暁 〜小説投稿サイト〜
IS〜夢を追い求める者〜
第2章:異分子の排除
第45話「想起・桜」
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...!?って痛ぁっ!?」

「織斑先生だ。」

 戻ってきた秋十達に、労わりの言葉を掛ける千冬。
 マドカはそれに驚き、思わず本来の呼び方で呼んでしまったせいではたかれる。

「お前たちはとりあえず部屋で休んでいい。...だが、織斑、篠咲兄、エーベルヴァイン。お前たち三人は聞かねばならん事がある。篠咲兄の治療とエーベルヴァインの検査もあるしな。」

「っ....。」

「まぁ、傷口開いてるからなぁ。今も痛いのなんのって。」

「私はエグザミアの事...ですよね。」

 千冬の言葉に、桜とユーリは妥当だろうと了解する。

「俺は...。」

「無断で出撃、尚且つ作戦の妨害だ。今まで課した罰よりも重いのを与える。...ましてや、人一人を殺しかけた事、お咎めなしだとは言わんな?」

「うっ.....。」

 誰かに助けを求めようと目を泳がせる一夏だが、誰もそれに応えようとしない。
 むしろ、敵視するように睨んでいた。

「....大丈夫なんですか?」

「ん?まぁ、大丈夫だろ。」

 秋十に心配される桜。
 この時、怪我についてか、これからの事についてかは、口に出さなかった。
 どちらの意味にしても、桜は“大丈夫”だと言ったからだ。

「ついてこい。機材の類は既に配備してある。」

 千冬の指示に従い、三人は別室に移動する。











「ドクター、社長から通信がありました。」

「なに?」

 一方、ワールド・レボリューションにて、ジェイルが束からのメッセージを受け取る。

「....そうか。もう動くのか。」

「どうしましょうか?根回ししておいた事で、私たちが狙われる事はないようですが...。」

「ククク...愚問だねウーノ。」

 ばさりと白衣を翻し、ジェイルはウーノに向き直る。

「世界改革なぞ、まさに私が追い求めていたものだよ!自身の手で世界を変える...直接でないにしろ、その一端を担うなど、今後あるだろうか!?」

「...ついて行く気ですね。」

「当然さ!」

 まさに悪役と言わんばかりの邪悪な笑みに、ウーノは溜め息を吐く。

「助手以前に、娘としてドクターの性格は理解しています。妹たちもついて行くかは別として、反対はしないでしょう。...しかし、例の計画はどうするのですか?」

「あぁ、VRゲームの事だね?安心したまえ。既に私がいなくなっても完成する。それに、ちょくちょく手を出したりはするさ。」

「...そうですか。」

 ジェイルの言葉に、諦めたようにウーノは言う。

「グランツ博士にこのことは?」

「話していないさ。だが、束君や桜君には気づかれているだろうね。」


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