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ソードアートオンライン 無邪気な暗殺者──Innocent Assassin──
OVA
〜暗躍と進撃の円舞〜
掃討
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隊を立ち上げる前、まだドラグーンしかいなかった頃のケットシーを知っとるかぇ?」
「…………?」
唐突な女性の言葉に、ファナハンは首を傾げた。
ヒスイの方だって明確な返答は期待していない。だからこそ、独白のような言葉は紡ぎ続けられる。
「あの頃の
ALO
(
ここ
)
は、今よりも種族間の関係性がずっとピリピリしててなぁ。極北のノームからPKされる、なんてこともザラやった。……なぁ、おかしいと思わへんか?あんさんがそんだけ評価してくれてる、お強いケットシーどもが、ただ一方的に蹂躙されてたんや」
その口調は吐き捨てるようだった。
苦虫を潰したような顔で、ヒスイは口を開く。
「それだけケットシーに、ガチな廃人ゲーマーが少なかった、というだけの話。あんさんみたいに、種族に対しての思い入れっちゅーのが薄かった、というだけの話。まぁ、理由はいくつかあるわ」
ウチのヤツらは基本、自由やさかいな、とヒスイは軽く笑った。
その上で、彼女は周囲を軽く見回す。
「……なぁ、これだけ見て、あんた気付かへんか?ケットシーには男が少ない。いるにはいるけど、それは一般やのうて執政部やドラグーン隊――――つまりは廃人勢や。控えめに見ても、ケットシーの男女比はひっどいことになってるやろ。……じゃあ、それはなぜか」
一拍を置いて、彼女は自分の臀部から伸びる長い尻尾と、頭部から生える巨大な三角耳をつまんだ。
浮かべるのは、自嘲的な笑み。
彼女は肩をすくめながら
「『コレ』や。あんたの言う通り、MMOの中でのステータス差や補正の違いは圧倒的で即物的や。数値と乱数で全てが決まるこの世界の中で、その値は手っ取り早い指針になる。けどな、時代が《VR》MMOに進み、今までの
画面
(
スクリーン
)
上では大して気にも留められなかった問題が新たに発生した」
ヒスイは、目を糸のように細める。
「それは、《見た目》や。もちろんゲームの中なんやから、服装も髪型も、そのカラーリングさえも自由自在やで?金あるんやったら、アバター作り直して自分好みの顔だちが出るまでガチャすることも可能。けどな、ケットシーの耳と尻尾は種族特性や。いくら変えたくても、取り除きたくても、こればっかりは変えられん」
あんさんも、ネコミミとシッポ生やした野郎と街中歩きたくないやろ、と狐耳の麗人は言う。
それは、どこか擦り切れた声だった。
「結果、ケットシーを選ぶことは合ってもすぐに領を捨てる攻略サイト漬けの効率主義者と、居残る頭お花畑なお嬢様に別れたゆうワケや。当然、そんな現状を周りが放って置くはずはない。鼻先でお手軽な宝箱が歩いてるようなモンや。片っ端から緑をむしりとっていくイナゴの群れみたいに、ケットシーは射的ゲームの的になった」
「だが
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