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ソードアートオンライン 無邪気な暗殺者──Innocent Assassin──
OVA
〜暗躍と進撃の円舞〜
掃討
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管の紫煙を吐き出しながらヒスイは応じる。
狐耳の女性は長い尻尾を揺らしながら言う。
けど。
「自分達が世界一不幸です。かわいそうな存在なんです、なんてヒロイックな考えに浸って、それが不動の真実なんて信じ込んでいる内じゃあ、やれることなんてタカが知れてるやろうな」
ぐっ、と言葉に詰まる。
「
世界
(
ここ
)
はどーあってもゲームで、遊びや。ソードアート・オンラインとは違う。
死亡罰則
(
デスペナ
)
を顧みないバンザイアタックだろーが、レイドで仲間盾にするのもアリっちゃアリや。……けど、あんさんは何やった?領主やろうが。領主が民のことを考えんで、誰が考えるゆー話やろうが」
「……民のことを、考えてのことだった。誰もが、笑顔に……」
そこで、領主だった少年は顔を上げた。
彼の表情は、分かりやすい喜怒哀楽などなかった。心電図が地平線を描いているかのように、どこまでも無表情だった。
ただ、彼は。
ポツリ、と。
うっかり零れ落ちたとでもいうように、少年は震える唇を動かして、剥き出しの感情をさらけ出した。
「強い軍を囲ってるお前らは知らないだろう。個人としての才を開花させるヤツは、そもそもこんな弱小種族に縛られはしない。本当に優秀なヤツほど、全部出ていく!比喩じゃない、全部だよッッ!今のALOは確かに平和だ!だけど、平和には二種類ある!勝った奴が放蕩する平和と、負けた奴が奪われ続ける平和だ!!このゲームの悪いところは全部スプリガンに被せられて、良いところだけお前ら優良種族サマが持っていきやがる!!なぁ、聞かせてくれよッ!!そんな状況で、そんな現状で、こんなちっぽけな俺に何がやれたんだッつーんだよおおおおおおおおおおッ!!」
夜闇に高らかに木霊すそれは、泣き言だった。
負け惜しみでも、負け犬の遠吠えでもない。ただ真っ直ぐで、ただ醜い、ちっぽけな感情だった。
始まりは、この男もこうまで歪んでなかったのかもしれない。
逆境など跳ね返してやる。そんな大志を抱いたからこそ、ゲーマーとして冒険の最前線で剣を振るうのではなく、為政者となった。
自分のためではなく、他人――――種族のために。
家族のような、大好きなこの妖精達のために。
だけど、理想で動かせるほど現実は甘くない。
様々な衝突と食い違いが、毒のように彼を蝕んで、摩耗させていった。やがて、愛すべき家族は、行動を起こそうとしない愚民となり、行き交う他種族はそれを嘲る愚者に変わる。
決してそんなことを望んでいた訳じゃない。そんな見方をするつもりじゃなかった。
誰よりスプリガンを見下していた男を見、ヒスイは一つ、重い溜息を吐く。
「……なぁ、あんた。ウチの隊長――――《
終焉存在
(
マルディアグラ
)
》がフェンリル
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