第4章:日常と非日常
第97話「霊力と霊術」
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口頭で教えようにも、僕自身椿たちに教えてもらった身。あまり教えられないな。」
「なら、仕方ないね。」
自分で組んだ術式なら教えられるけど、飽くまでそれは僕に合わせた霊術だからな。
いきなり応用から始めるようなものだから、教えるのには向いていない。
「くぅ...。」
「久遠?どうしたんだ?」
結局、まずは霊力の感覚を完全に理解する事に、今日は集中するだろう。
そう思って、二人に自在に霊力を操れるように要練習と伝えると、久遠が動きを見せる。
「........。」
「....ちょ、まさか...。」
人型になり、久遠は両の掌を向かい合わせるように構える。
その瞬間、掌の間に相当な霊力が渦巻く。
「...できた。」
「...見ただけで、コントロールが上がったのか...。」
純粋な霊力の球。それを久遠は掲げるように持つ。
今まで久遠は霊力を雷として繰り出していた。
それを、僕らのやり取りを見ただけで純粋な霊力の球に変えたのだ。
「これが天才か...。」
「....優輝?」
才能による差をまざまざと見せつけられる。
実際、僕は大して才能は持っていない。全部経験とかで補っているだけだ。
だから、まざまざと見せられると、どうも才能の差を感じてしまう。
そんな僕の様子に気づかず、久遠は何か困った様子で僕に尋ねてくる。
「どうした?」
「...これ、どうしよう。」
...まさか、後始末の仕方も分からないまま出した?
「あ、葵!」
「了解!くーちゃん、それ上に投げて!」
「....!」
葵を呼び寄せ、久遠は葵の言葉に従って上空に霊力の球を投げる。
すぐさま葵がレイピアを投げ、霊力の球を貫く。
「ふぅ....。」
「久遠、今度からは、やり方をしっかり理解してから試すように。」
「くぅ、わかった。」
霊力はそのまま霧散し、葵は一息つく。
その横で、僕は久遠に注意する。まぁ、久遠も悪意があった訳じゃなく、分かってくれた。
「今日はこのぐらいかな。」
「そうだね。」
しばらく各自で霊力の特訓を行い、今日はお開きとなる。
アリシアの弓と違い、それなりにのんびりと進んでいる。
「じゃあ、今日はもう帰るの?」
「そうなるかな。」
アリシアの言葉に、僕はそう答える。
特にここでやる事がなければ、いつまでも居座る訳にはいかないからな。必要もないし。
「あ、最後に神降ししておくわよ。」
「えっ?どうしてだ?」
椿が帰ろうとする僕を引き留めてそういう。
「神降しの状態になれば、その傷も治せるかもしれないから
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