第一章
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競泳水着
間井谷楓はこの時かなり真剣に悩んでいた、それで友人達に言うのだった。
「太ったわ」
「そう？」
「前と変わらないわよ」
「そうよね」
「別にね」
「何処も変わらないじゃない」
「それがなのよ」
どうにもというのだ。
「太ったみたいなのよ」
「そうなのね」
「あんた自身から見ると」
「そうなのよ」
友人達に体育の授業前に更衣室に向かう途中で話をするのだった。
肩にかかるまでに伸ばした茶色がかた髪の毛は細く量が多い。眉も茶色が勝手いて薄い感じだ。奥二重のアーモンド型の目に白い肌と少しだけ赤らんだ頬、赤とピンクの中間色の唇に楚々とした顔立ちをしている。高校生だがまだ幼さの残るスタイルである。黒のブレザーとグレーのミニスカートの制服に黒のハイソックスだ。ブラウスは薄い青でネクタイはえんじ色だ。
「これがね」
「じゃあダイエットする？」
「というかもうはじめてる？」
「一応ね」
それは既にというのだ。
「やってるわ、けれどね」
「まだ太ってる」
「そうだっていうのね」
「私太りやすい体質みたいだから」
楓は眉を曇らせて自分から言った。
「それでね」
「一旦太ったら大変」
「そうなの」
「お腹が出て来たの」
具体的にはそこが問題だというのだ。
「本当にどうしたものかしら」
「じゃあ腹筋ね」
「腹筋頑張るしかないわね」
「楓部活バレー部だし」
「そっちの自主トレ力入れてみたら？」
「そうね」
楓は友人達のその言葉に頷いた。
「そっちもやってみるわ、ただ水着はね」
「水着？」
「水着はっていうと？」
「ちょっとね、今度皆でプールに行くって約束だけれど」
彼女達が通っている学校の近くのプールだ、冬でも温水なので人気がある遊び場所の一つであるのだ。
「水着ビキニのつもりだったけれどね」
「あのピンクのよね」
「あれ可愛いじゃない」
「ビキニはお腹が出るから」
だからだというのだ。
「ちょっと止めるわ」
「そうなの」
「別の水着にするの」
「そうするのね」
「そう考えてるわ」
こう言うのだった。
「他の水着もあるから」
「そうするのね」
「あのビキニじゃなくて」
「うん、別の水着よ」
何といってもというのだった。
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