第五章
[8]前話
「そうするか」
「そうしましょう、私もお酒はね」
「後にするか」
「この子達が嫌うから」
タロ、そしてワラビを見て答えた。
「だからね」
「そうするか、じゃあ今からな」
「サンルームで観ましょう」
「今ここでな」
明るく話をしてだ、そしてだった。
早百合はサンルームの自分用の椅子を出した、そして夫婦で並んで座ってサンルームから花火を観た、すると。
ワラビはすぐに権造のところに来た、そのうえで。
彼の足に顔を寄せて寝た、権造がその頭を撫でると。
嬉しそうだった、権造はそのワラビを見て微笑んだ。
「やっぱりな」
「家族が傍にいるとね」
「それだけでな」
「落ち着く娘よね」
「そうした娘なんだ」
ワラビはというのだ。
「本当にな」
「そうよね」
「ああ、しかもな」
ここでだ、権造は。
タロも見た、タロを見るとだ。
興奮していたがだ、それでもだった。
「タロも来たな」
「私達のところに」
「二匹一緒になったな」
「そうね、どちららの子もこうなのよね」
「俺達が好きなんだな」
「家族がね」
「じゃあな」
権造は優しい目で言った、顔は厳しいがよく見ると目はいつも優しい。そしてその優しい目を普段以上にそうさせたのだ。
「これからは花火大会はな」
「このサンルームで観るのね」
「ああ、ワラビが落ち着く」
花火の音を怖がる彼女がというのだ。
「だからな」
「こうするのね」
「そしてな」
「お酒はなのね」
「もう飲まない」
花火大会を観る時はというのだ。
「そうするな」
「わかったわ、それじゃあね」
「こうして観ていくな」
花火があがる、タロははしゃぐがワラビはまたびくっとした。音が怖いのは相変わらずだ。
だが権造の方を見てだ、ほっとした顔になってだった。
彼のところに寝そべるのを続ける、その彼女の頭を撫でてから。
権造は花火を観た、早百合はその夫の横で一緒に花火を観ている。一家は揃ってサンルームでいた。最後の花火があがるまで。
花火と犬 完
2017・1・17
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