第四章
[8]前話
「それがわしにあるかどうかはな」
「及第の時にわかるか」
「そう思う、そしてわしに運があればな」
「わし等が何者かもな」
「わかるであろう、ではな」
「これからもか」
「まずは学問じゃ、運は確かに必要じゃがまず資質じゃ」
何といってもというのだ。
「そこに運が加わってじゃからな」
「何か出来るからか」
「わしは学ぶわ」
「ではこれからも入れ替わり立ち替わり教えてやろう」
「頼むと言っておく」
李は書生に応えつつ大学も学んだ、この次の日もそれからもだった。
彼は学問の度老人や書生、商人や道士に僧侶、官吏や小僧や兵士や将軍に色々と教えられた。不思議とどの者も小さくそして学問がわかっていた。
その彼等の話を聞きつつ学問に励み及第の時を迎えていた。そして科挙では小人達が彼に教えたことがそのまま出てだ。
彼はすらすらと答えを書くことが出来て無事に及第した、そのうえで呉に及第を家で祝ってもらった。言うまでもなく唐朝の方でも及第者を招いて祝ってくれた。
そうした一連の祝いの中でだ、呉は李にとっておきの酒を振る舞いつつ問うた。
「及第した秘訣は何なのか教えてくれるかい?」
「秘訣ですか」
「そう、それがあったら何かをな」
「運でしょうか」
李は呉に真面目そのものの顔で答えた。
「やはり」
「運か」
「運がないと実力が備わっていても」
「結局落ちてしまう」
「そういうものですから」
「とことん学問に励んでも結局最後は、ということか」
呉は李のその言葉を否定せずにこう返した。
「やはり」
「そういうことになりますね、助けが得られる位の運とか」
「助け?」
「あっ、天恵ということで」
李は小人達のことはこれで誤魔化した、流石に話すことは出来なかった。
「そういうことで」
「よくわからないがとにかく運だな」
「運が第一ですね」
また言った李だった、呉も他の者も納得してだった。それで彼の及第を祝った。及第した彼は言うまでもなく官吏になったが。
仕事で朝廷から都の学者達が集まる学問所に赴き壁のところを歩いていると壁の下に溝があるのを見付けたが。
そこに多くの家守達がいた、家守達は李が自分達を見ているのに気付いて彼を見たが。するとどの家守達もあっという顔になった。李は彼等のその顔を見てわかった。
「成程、だから学問に詳しかったのか」
小人達がそうであったことがわかった、そして彼等の正体もだ。全てわかった李は微笑みそのうえで学問所での仕事に励んだ。及第して官吏となったうえで。
家守 完
2016・10・11
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