第六章
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「ですから」
「では順番待ちの形で」
「それで、ですか」
「はい、待たれると共に」
フレーニは何気に交渉も行った、何時かは海外に行って望みが叶えられるかもということを餌にしたのだ。マルコのその願いを。
「そうされては」
「そうですね、就職もですね」
「しないといけないですね」
「現実として」
「それならです」
是非にというのだった。
「お考えになられては」
「わかりました」
マルコは餌に乗った、そしてだった。
実際にだった、彼は海外派遣ではなくイタリアのスタッフとしての願書にサインをして就職をした。そうしてだった。
大学を卒業してから働きだした、彼は海外に送られる若いスタッフのことについての事務を主に行った。
その仕事は滅法忙しくてだ、若い女の子のスタッフに言った。
「事務も忙しいね」
「シェスタの時間がやっとですね」
「取られる位だね」
「そうした位ですね」
「いや、忙しいよ」
「何しろ人がです」
そもそもというのだ。
「少ないですから」
「現地のスタッフに」
「はい、ですから」
だからだというのだ。
「どうしてもです」
「こうして忙しいんだね」
「そうなんです、ですが」
「僕達が働かないと」
「何も出来ないです」
スタッフは確かな声で言った。
「本当に」
「そうだね、行く人も大事だけれど」
海外に実際にだ。
「僕達みたいな現地のスタッフもね」
「大事ですね」
「考えてみれば軍隊でもそうだよ」
マルコはこうも言った。
「後方がしっかりしていないと」
「戦えないですね」
「我が国の軍隊は補給はしっかりしてるから」
このことには第二次大戦の時も定評があった、よくも悪くもイタリア軍の食料事情は砂漠でもしっかりとしていた。
「そういうことからも考えると」
「やっぱり私達も必要です」
「そうなるね」
「そうです、そして」
「僕達が頑張れば」
「理想はもっと人が増えればですが」
スタッフの娘は笑って何気に本音も出した。
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