第三章
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マルコは理系は諦めて文系の勉強に励みその結果だった。文系の大学ならばかなりのところに行けると言われた。
それでだ、彼は高校の先生に言われた。
「話も上手だし先生とかいいんじゃないか?将来は」
「学校の先生ですか」
「国語なり社会なりラテン語なり」
彼の得意科目のそれでというのだ。
「そういうのでなってみるか」
「学校の先生ですか」
「君の将来への夢は聞いているよ」
それはというのだ。
「人の役に立ちたいんだね」
「子供の頃からそう思ってます」
マルコは先生にもこう答えた。
「本当に」
「それなら学校の先生でもいい」
「そうなんですか」
「ちょっと君に紹介したい話があるんだ」
先生はマルコに真剣な顔で話した、髭だらけの痩せた顔で。シャツはノーネクタイだがそれが似合っている。
「日本の話で」
「日本ですか」
「その話を紹介していいか」
「はい、お願いします」
マルコは先生に頷いて答えた、そしてだった。
実際にその話を紹介してもらった、その話は。
日本が台湾を統治していた時の話だった、まだ教育が普及していなかったその地に日本から教師達が渡ってだ。
台湾の子供達に教育を行った、しかもだ。
「何の武装もせずにですか」
「そう、銃も刀も持たずにね」
先生はマルコに話をしてから答えた。
「そうしてね」
「まだ危険が多かった台湾に入って」
「子供達に教育を行っていたんだよ」
「それでも」
「うん、残念ながら暴漢達に襲われてね」
そしてというのだ。
「六人の先生達が命を落としたんだ」
「悲しい話ですね」
「けれどその先生達の心が生きてね」
そうしてというのだ。
「多くの台湾の子供達が教育を通じて救われたんだ」
「そうなんですね」
「この先生達は今でも台湾で尊敬されているよ」
死して尚、というのだ。
「素晴らしい人達だって」
「台湾の子供達の為に尽くした」
「立派な人達だってね」
「人を助けたんですね」
「そう、人の為にね」
まさにというのだ。
「台湾の」
「そうですよね、先生もですか」
「そう、その立ち場でもね」
「人を助けられるんですね」
「そうだよ、まあ私はね」
先生は自分のことはだ、苦笑いで言った。
「残念ながらこうしてね」
「イタリアにいてですか」
「しがない教師をしているけれど」
「学校の先生もですか」
「困っている人達を救えるよ」
それが出来るというのだ。
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