第二章
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「上の方は満足しているらしいぜ」
「前の出撃でか?」
「敵の工場を幾つも破壊出来て損害も少なかったらしい」
「損害もかよ」
「ああ、かなりな」
「随分やられなかったか?」
「撃墜された数が少なかったらしい」
実際のそれがというのだ。
「それでな」
「上は満足してるのか」
「そうらしいぜ」
「死ぬかと思ったけれどな、俺は」
ジョーンズは灰色の目を顰めさせて言った、金髪が見事で背も高く鼻の高い顔は整っている。ブルームはその彼と同じ位の背で髪の毛は茶色だ。顔は四角い。
「あの時は」
「俺もだ、けれどな」
「上はか」
「損害も少なくて満足してるんだよ」
「結構やられたって思ったんだがな」
ジョーンズが見る限りではだ。
「結構」
「ああ、しかしな」
「それがか」
「生きてたらしいんだよ」
上から見ればというのだ。
「これがな」
「そうなんだな」
「機体も攻撃を受けてもな」
戦闘機でも爆撃機でもだ。
「撃墜されないといいんだよ」
「そして動けばか」
「それでな」
「何か現場と違うな」
「お偉いさんはそうさ、死ななくて動けたらな」
兵士達も機体もというのだ。
「それでいいんだよ」
「それでか」
「俺達が幾ら苦しくてもな」
「やれやれだな、それで生きていて動けてもだな」
「損害だけの話だよ、数字だよ」
彼等にとってはそれに過ぎないというのだ。
「所詮はな」
「それで選挙とかに影響するからか」
「まあそういうことだな」
「こっちはそんなんじゃないけれどな」
「お偉いさんは俺達とは住む世界が違うんだよ」
「そういうことか」
「要するにな、じゃあ今日も出撃して」
敵の本土の上空までというのだ、言うまでもなく死地である。敵であるドイツ軍も決死の覚悟で迎撃してくるからだ。しかも空とはいえそこは彼等のホームグラウンドだ。空であるが地の利も彼等の方にあるのだ。
「生きて帰ろうな」
「帰ったらステーキ食うか」
「アイスクリームもな、酒はバーボンだ」
二人でこう話してだ、ブルームもジョーンズもそれぞれの愛機に乗って空に出た。そうして編隊を組んで爆撃隊とはドーバー海峡で合流し。
ドイツ本土に向かった、今回はルール地方への爆撃だったが。
ジョーンズは通信でだ、ブルームに聞いた。
「今回もドイツ機来るよな」
「当たり前だろ」
ブルームはこうジョーンズに返した。
「ルールを爆撃するんだからな」
「連中にとって最大の工業地帯をな」
「それで来ない筈ないだろ」
「やっぱりそうだな」
「それで爆撃隊に群がってきてな」
「俺達にもだな」
ジョーンズはここで自分達を見た、ムスタングの編隊は三百はいる爆撃隊より少し少ない位の数だ。全機縦に蛇行しつつ飛んでい
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