第一章
[2]次話
安い生命だが
アメリカ陸軍航空隊第八空軍はイギリスからドイツ本土への爆撃を行っていた。これによりドイツの国力を奪い戦争終結を早めるのが目的だ。
しかし爆撃を行う爆撃隊の損害を見てだ、大統領であるルーズベルトは難しい顔になり報告する軍人達に言った。
「多いね」
「爆撃隊の犠牲が」
「そう言われますか」
「うん、どうにもね」
大統領の席で難しい顔をして言った。
「もっと少なくならないのかね」
「護衛戦闘機もつけていますが」
「何分ドイツ本土までは中々辿り着けず」
その護衛戦闘機達がというのだ。
「ドイツ本土では爆撃隊だけになることが多く」
「敵の迎撃を受けてしまっています」
「しかもドイツ本土の高射砲もあり」
「損害は中々」
「ドイツも必死ということだね」
ルーズベルトは難しい顔のまま述べた。
「やっぱり」
「はい、本土への爆撃は許せません」
「彼等にしてみれば」
「ですから彼等も必死に迎撃してきます」
「そうしてきています」
「そうだね、しかし爆撃を続けないと」
ドイツ本土への戦略爆撃、それをだ。
「ドイツの国力はそのままだからね」
「その分戦争は長引きます」
「そうなってしまいますので」
「戦略爆撃は続ける必要があります」
「このまま」
「わかった、ではだ」
ルーズベルトはここまで聞いてその面長の顔を難しいものから一転して決定したものにさせて言った。
「ドイツ本土への爆撃隊を護衛出来る戦闘機の開発を」
「はい、許可して頂けますか」
「そちらを」
「そして爆撃隊の損害を少しでも少なくしよう」
「そうしていきましょう」
「戦争に勝つ為に」
軍人達も言う、こうしてだった。
護衛戦闘機の開発が進められた、それはPー51ムスタングだった。ムスタング達は開発されるとすぐにイギリスにパイロット達ごと大量に配備された。そしてだった。
爆撃隊を護衛して彼等もドイツに向かうことになった、この日も彼等は出撃したが。
出撃する時にだ、チャーリー=ブルーム少尉は自身の愛機を見つつだ、同僚のラルフ=ジョーンズ少尉にこんなことを言った。
空港は慌ただしく出撃準備にかかっている、二人もパイロットの服を着ている。ブルームはその中で同僚に言ったのだ。
「今回は前みたいじゃなかったらいいな」
「ああ、前か」
前回の出撃のことを言われてだ、ジョーンズはその整った灰色の目を曇らせてブルームの緑の目を見つつ応えた。
「前はな」
「酷かったな」
「フリッツ共の数が多くてな」
「俺達も爆撃隊もえらい目に遭った」
「散々だったな」
「全くだ、けれどな」
ここでだ、ブルームはこうジョーンズに言った。
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