第八章
[8]前話
「それで」
「そういうものか」
「ロリコンでもいい」
「相手を本当に好きなら」
「それで法律に反しないなら」
「モラルにもね」
寛騎はこうも言い加えた。
「ロリコンでもいいじゃないか」
「言い切ったな」
「随分と」
「そう思うよ、今は」
はっきりとした言葉だった。
「じゃあ今から式に出るよ」
「ああ、それじゃあな」
「その奥さんと一緒にな」
「幸せになれよ」
「是非ね」
寛騎は笑顔で応えてだ、そしてだった。
彼はその友希と共に式に出た、白無垢姿の友希はやはり子供に見えた。だが寛騎はその友希を見てにこやかに笑ってだった。そのうえで式の主役としていてそれからの結婚生活も楽しんだ。だが結婚式から二十年経ってだ。
妻がだ、家でこんなことをぼやいているのを聞いたのだった。
「最近太ってきて」
「そうか?」
「困ったわ」
「そんなに変わっていないんじゃないかい?」
寛騎は家に帰ってくつろぎつつ妻に言った。
「別に」
「いえ、それがね」
「体重を測ったら」
「増えていたのよ、脂肪率もね」
「そうなんだ」
「目尻に皺も出て来たし」
「もうそんな歳かい?」
寛騎は妻の言葉に首を傾げさせた。
「僕は別に、むしろ僕の方が」
「髪の毛が気になるの?」
「最近ね」
「まだまだ多いじゃない」
自分の頭に手をやる夫への言葉だ。
「大丈夫よ」
「そうかな」
「そう、五十代になれば」
「これ位ならなんだ」
「多い位よ」
「だといいけれどね」
「女は四十近くになると」
結婚、いや二人がはじめて会った時からの童顔でもだ。友希は言うのだった。
「脂肪や皺がね」
「気になってくるんだ」
「そうよ、ダイエットとか気をつけないと」
「結婚した時はそんなこと言わなかったじゃないか」
「あの時は若かったから」
まだ十八だったからだというのだ。
「そんなことを気にしなかったのよ」
「けれどだね」
「人は誰でも歳を取るのよ」
それこそ誰一人として例外でなくというのだ。
「絶対にね」
「それはそうだけれど」
「だから私もよ」
「かつては若くても」
「歳を取るのよ、そしてそうした悩みも出来るの」
「何時までも子供じゃない」
「そういうことよ」
まさにとだ、そうした話をしてだった。
友希は風呂に向かった、子供達のことにも言及しつつ。寛騎はその妻を見ながら思った。ロリコンだの言えるのはあくまで一時期だけのことであるということを。
ロリータ=コンプレックス 完
2016・10・23
[8]前話
※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりを挿む
[7]小説案内ページ
[0]目次に戻る
TOPに戻る
暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ
2024 肥前のポチ