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ルーブルの聖女
第六章
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「わし等はミューズに感謝しないとな」
「そうですね」
「お陰でルーブルは守られて多くの美術館や博物館がチェックを強化して」
「その分世界の芸術が守られますから」
「まさにミューズのなすこと」
「そう思いました」
 こう言うのだった。
「ふと」
「いや、それはな」
「実際かも知れないですか」
「そもそもあんな人はな」
「入退館の記録もなくて」
「探したら見付からなかった」
「生きている人間にしては」
「あまりにも不自然だ」
 だからだというのだ。
「それでだ」
「あの人はですね」
「本当にな」
「ミューズかもですね」
「そうだったのかもな」
「だとしたら感謝しないといけないですね」
「全くだ」
 それこそというのだ。
「ミューズにな」
「そうしましょう」
「知らせてくれたことについてな」
「是非ね」
 二人で話した、実際に以後金髪の白い女がルーブルに出ることはなかった。ルーブルでの話は終わった。
 しかしだ、そのルーブルを遠くからだ。
 その女が見ていた、その隣には顔は微笑み隣にいる見事な縮れた金髪に青い目を持つ非常に整った顔の青年がいる。着ている服はかなり上等なスーツだ。
 青年は女にだ、笑顔で言った。
「よくやってくれた」
「私がルーブルの中を毎日歩いたので」
「彼等は自分達の災厄を取り除けた」
「このことがですね」
「本当によかった」
 実に、というのだ。
「そなたの活躍のお陰だ」
「いえ、しかし」
「しかし、何だ」
「アポロン様も今夏は」
「周りくどいやり方をしたか」
「私自身が爆発物をです」
 女はアポロンと呼んだ青年に述べた。
「そうしてです」
「見付けてだな」
「処理すればよかったのでは」
 こう言うのだった。
「それなら簡単に」
「そう思うな、しかしだ」
「そこを、ですか」
「人間達が見付けるとだ」
 青年は女に話した。
「ルーブルでも以後警戒を厳重にしてだ」
「世界の他の美術館もですか」
「博物館もな、テロへのチェックを厳しくする」
「そう考えられたからですか」
「そなたにああさせたのだ」
「素性のわからない私を調べ探しているうちに爆発物を見付けさせる」
「そうしてだ」
 まさにというのだ。
「彼等の手でテロを防ぐ様にしてもらうのだ」
「以後も」
「我々が彼等が気付かないうちにしたのではな」
「意味がなかったのですか」
「そうだったのだ、芸術は自分達の手で守れば」
「神がそうするのではなく」
「それだけ尊くなる」
 青年は強い声で述べた。
「私はそうあって欲しいのだ」
「成程、そこまでお考えでしたか」
「ではだ」
「はい、これからもですね」
「人間達自身に芸術を守ってもらおう」
「彼等が気付いた
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