第四章
[8]前話
「少しずつでもやっていくとね」
「いいんだね」
「そして最後までするとね」
その時はというのです。
「もっとよくなっている筈よ」
「それじゃあ」
「最後までするのよ」
決めた通りにというのです。
「いいわね」
「うん、わかったよ」
優樹は今度は実感と共にお母さんに応えました。
そしてドリルと教科書を続けていきました、すると。
どれも最後まで解いて読み終わった時にはでした。
「前よりもずっと」
「よくなったわね」
「ほら見て」
お母さんに通信簿を見せました、すると一学期から三学期まででどの教科も成績が一か二ずつ上がっていました。
「凄くよくなったよ」
「お母さんの言った通りでしょ」
「本当に最後までしたら」
「成績はよくなるの」
「続けていったら」
「最後までやることが大事なの」
何といっても、という言葉でした。
「優ちゃんは最後までしたから」
「成績が上がったんだ」
「お勉強でも何でも毎日少しずつでもね」
「続けたらだね」
「よくなるの」
こう言うのでした。
「だからね」
「最後までやり遂げる」
「このことが一番大事なのよ」
何かをしようと思えばというのです。
「本当にね」
「じゃあ僕これからも」
「途中で止めないでね」
「最後までやるよ」
「そうすればきっとよくなるわよ、それでだけれど」
お母さんは優樹にあらためて尋ねました。
「どうしてそこまで必死に成績上げようとしたの?」
「だってお父さんがね」
「お父さんが?」
「成績上がったら新しいソフト五本も買ってくれるっていうから」
「それでなの」
「うん、勉強頑張ったんだ」
「何でかしらって思ったら」
お母さんは優樹の言葉に少し呆れた感じで言いました。
「そうしたことだったのね」
「そうだったんだ」
「事情はわかったわ、けれどね」
「けれど?」
「それでも最後までよ」
「やろうって思ったら」
「やっていてね」
優樹がどうして成績を上げたかったのかを知って呆れましたがそれでもです、お母さんは優樹にまたこのことを言いました。
「いいわね」
「うん、そのことはね」
「絶対にね」
「これからもやっていくよ」
このこと自体にはです、優樹はお母さんに素直な笑顔で応えました。そしてこの時から優樹はやろうと決めたら最後までする様になりました。そしていい大人になるのでした。
やり遂げる 完
2017・1・16
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