人格形成!最強の単語が出来上がるまで。
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せる。穴があったら入りたい気持である。だが、あいにくなことにここは無機質なコンクリートで舗装された近代都市。道端には穴は開いていない。
ついにアッテンボローは観念した。もはや走ろうにも足が言うことを聞かない。いっそどうにでもしてくれ!という気持ちで彼は道端にへたり込んだ。と、その5秒後、彼は熱烈な抱擁の中でもがいていた。所かまわずキスをされ、しまいには窒息死するのではないかとさえ思うほどの熱烈な接吻を受けた。
「ねぇ、ダ〜スティ〜!どうして逃げるの?私が嫌いなの!?嫌いじゃないわよね?私好き、大好き、ねぇ、聞いてるの?だ〜〜〜〜い好きなの!!」
アッテンボローはこの時思った。女というモノはつくづく怖い。怖すぎる。今まで姉たちに色々こき使われてきたが、まだ女の怖さをわかっていなかったようだ。結婚なんてするもんじゃない。あぁ、そうだ。こんな「ダ〜スティ〜!」を連発する女に一生捕まった日にはどうなるかわからない。
そう思うアッテンボロー少年の傍らで女の子は甘い声をいっぱいにまきちらしている。
「ねぇ、ダスティ〜!どうしたの?具合悪いの?私、今日はう〜〜んとおしゃれしてきたのよ!!ね、見てみてこのポニーテールのリボン、お母さんがつけてくれたんだ!とっても可愛いでしょう!!これ、私のお気に入りなの。」
アッテンボローは薄目を開けた。抱擁でヨレヨレになったその姿は、まるでリングに横たわる敗残のボクサーのようだった。彼は精一杯の気力を込めて、女の子の顔を見つめた。期待に目を輝かせる彼女にアッテンボローはこう言い放った。
「それがどうした!!」
数秒後、怒りに満ちた両目のきらめきと、降り落ちてくる肌色の拳を最後に、アッテンボローの意識はそこで途絶えた。
数年後、アッテンボローは士官学校を卒業し、少尉に任官。最初の勤務についていた。それはなんと巡航艦の主計課であった。それもこれもどれも、彼の士官学校時代の教官であったドーソンの嫌がらせと報復であるだろうことは明白である。彼はひそかに涙したが、めげることはせず、黙々と任務に就いていた。任務に就きながらも彼の胸の内は燃えていた。いつかドーソンの野郎に復讐してやる!あの野郎の口にジャガイモを押し込んでダストシュートに放り込んでやる!
「ちょっとダスティ〜!」
甲高い声で復讐の夢を破られたアッテンボローは振り向いた。この時彼は調理場でジャガイモの皮をむいていた。むろんそのジャガイモをすべてドーソンの頭に見立てていたことは言うまでもない。
「何やってんの!?それじゃ皮をむいてんじゃなくて身を削ぎ落しているんでしょうが!!」
そう言ったのは同い年の軍曹階級の女性だった。士官学校を出ていないから少尉のアッテンボローとは雲泥の差があるのだが、ここではそういう階級は一切通用しなかった。調理場を支配している
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