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ソードアート・オンライン 神速の人狼
秘めたる想い
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 重い瞼を持ち上げると視界一杯に血のような紅に染まった空が広がっていた。
 既視感のある光景に、すぐにここがどこであるのかを、思い出す。

ーーゲームがログアウト不可・ゲームの死=現実の死となった日。
ーー仮想空間が現実と等しくなった日。
ーー茅場 昭彦によって、始まりの街に集められた約一万人のプレイヤーに非情な宣告がされた日だ。

広場中に響く一万人近いプレイヤーたちによる激情や絶望の感情が入り混じった怨嗟の大合唱。 吐き気すら覚えるなかで、自身の名前を呼ぶ掠れた声がはっきりと聞こえた。

 オイルの切れた機械のように緩慢とした動作でそちらに視線を向けるとそこに居たのは初期の布系の装備で身を固めた幼馴染の姿。 そこにいつもの笑みはなく、目の前に広がる絶望に身体を震わせていた。

 青褪めた頬に透明な雫が伝うのを見て、ギシリと何かが砕ける音がした。
 上空に佇む仇敵である紅いローブをありったけの怨嗟を込めた視線で睨みつける。

 ーー絶対に、許さない



「ーーリ、起きて。 おーい、起きろーケモミミ〜」


 名前を呼ばれ、べしべしと叩かれ、意識を覚醒させるとそこはあの広場ではなく、見慣れた天井。 どうやら、懐かしい夢を見ていたらしい。 もっともその内容はさっそく悪夢のようなものだったが。

 寝起き特有の倦怠感のせいでぼんやりとしていると、自分が起きたことに気がついていない幼馴染が腕を組み首を傾げていたかと思えば、ハッと何かを閃いたのか掌を打った。

「もしかして今って思う存分モフれるチャンスなのではアイタァッ!?」
「……お前は朝からなにを言っているんだ」

 勢いが乗ったチョップが脳天に炸裂し、ベットから転げ落ち涙目で蹲るシィを見て、怒る気すら消え失せる。 「起きてたなら言ってよね!?」と瞳を潤ませ、抗議してくるが元はと言えば、原因は向こうにあるので謝るつもりはない。

 しかし、シィが起こしに来るとは珍しい事もあったものだ。
 いつもなら先に起きた自分が朝食の準備をしていると、シィが寝癖をつけたままの状態で起きてくる(詳しい事は彼女の名誉のために省く)のだが、今日はいったいどう言った風の吹きまわしだろうか。

 布団から覗く尻尾へと伸びる手をはたき落としつつ、そのあたりを訊ねてみれば、キラリと瞳を輝かせた彼女が機敏な動作で立ち上がり、窓から覗く景色を指差す、


「今日は月一度あるかどうかの快晴! これはダンジョンに篭ってる場合じゃないよね!」
「まぁ、確かに……それで?」
「というわけで。 ピクニックに行こう!」
「……さいですか」
「というわけで、お弁当よろしくね〜〜!」

それだけ言うとドタタッと慌ただしく部屋を出て言ってしまう。 何年経っても
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