秘めたる想い
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、あいつの突拍子もない行動を予測出来た試しがない。 幼馴染に振り回されぱっなしの運命を呪いつつ、 ベットから飛び降りる。
「さて、弁当は何にするかなぁ……」
◇
時刻は昼過ぎ。
あの後、どいうわけかキリトやアスナを誘い、湖の畔へと赴いていた。空になったお重を片付けつつ、湖の方へと視界を向ける、湖面に糸を垂らすキリトをシィが興味深そうに眺めていた。 珍しい取り合わせだけに、どんなことを話しているのか気になり、犬耳をそば立てて、《聞き耳スキル》を発動させてみた。 周囲の音がクリアに聞こえてくる。
「ほら! そこ! 魚!」
「馬鹿っ!? 槍を投げようとすんじゃねぇ! 魚が逃げるだろ!」
「一匹も釣れてない人がなーに言ってんですかねぇ?」
「……なにやってんだ、あいつら」
繰り広げられるお馬鹿なコントに思わずため息が溢すとすぐそばから、くすくすと控えめな笑い声が聞こえてくる。 芝生の上に足を伸ばし、寛いだ格好のアスナが背中を丸めるようにして笑いを堪えていた。
「……笑ってないで、助け舟出してやったらどうだ?」
「キリト君なら大丈夫だよ」
笑いの余韻を残したアスナがストレージからティーポットを取り出しお茶の準備をし始める。 琥珀色の液体が注がれ、湯気の立つカップが差し出される。 ありがたく受け取る。 温かいカップを両手で包み、フーフーと冷ましていると柔らかな笑みを浮かべたアスナと目があった。
「……なにか?」
「いや、ユーリ君って意外と子供っぽいな〜」
「悪かったな、ガキで……」
「悪い。意味じゃなくて、子供っぽくて可愛いって意味だよ」
「フォローにみせかけた追い討ちはやめてくれ」
思わずそっぽを向いてしまうのも、我ながら子供っぽいと思ってしまう。
慌ててそんな事ないよーとフォローしてくれるが、緩んだ表情と見つめてくる瞳は完全に手間のかかる弟を見るソレである。 居心地の悪さを紛らわすようにずずずっと音を立ててお茶を啜っていると、アスナは視線を陽の光を浴び胸元で輝く水晶のネックレスへと向けていた。
「……今日は、誘ってくれてありがとね」
不意打ち気味に向けられた笑みは、少し前の、『血盟騎士団副団長』としての彼女からは想像もつかない優しげで思わずどきりとさせられる。
「……礼なら、シィの奴に言ってくれ」
誤魔化すように呟くと、盛大に視線を逸らす。 その様子を見て、ふふと小さく笑ったアスナは膝を抱えて丸くなる。 チラリと視線を向けるも栗色の髪の毛に隠されその表情は窺い知れない。
「……ユイちゃんがね、「ママたちにはいつも笑っていて欲しいです」って。 だから、私は泣いて、立ち止まっていられない。」
我が子のように愛した子共を失った悲しみはそう易々
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