番外編:殺人鬼の昔話1 下
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った風体で無造作に窓から投げ捨てた。しかし、彼の身体は地面に叩きつけられることはなく、人参を模したロケットの中に放り込まれる形となった。ハッチが閉まる最中、束と目が合う。彼女は満面の笑みを浮かべて言い放った。
「お前の居場所なんて何処にもないんだよ。分かったらとっとと遠い国で最低に生きるんだねそれくらいは許してやるよ」
遂にラシャは己のルーツにたどり着いたのだ。
「ハハハハハハハハハ!…そうか、そこまで俺が憎いか。そうまでして消えて欲しかったか!!」
突如死体袋から響いてきた笑い声に、見張りの男達二人は反射的に銃を抜き、死体袋に撃ち込んだ。2、3度痙攣して動きを止める死体袋。その様子に安堵して袋に近づいたのがいけなかった。
死亡確認のために袋の口を弛めた瞬間、見張りの片方は絶命していた。断末魔の叫びを上げようにも喉をえぐり取られていたのだ。相方の無惨な死にもう片方の見張りは数瞬状況が理解できずに硬直してしまった。そして我を取り戻した時には、死んだはずの侵入者によって拳銃を掴まれていた。
「速い!?」
「遅い!!」
見張りとラシャの声は同時に放たれ、拳銃も遅れること無く咆哮するはずであったが、いつの間にか見張りの手から煙のように消失していた。
「な!?どこに……」
「種明かしは地獄でしてやる」
その言葉とともに、顎に持っていたはずの拳銃が突きつけられる。それが、彼の見た最後の光景だった。
同時刻、某所海中の原子力潜水艦にて。懲罰用として作られたのであろう小部屋にマドカは軟禁されていた。両手足を拘束され、乱暴に床に転がされているとスコールが工場で出会った時と同じドレススタイルで入室してきた。
「御機嫌ようM。気分はどうかしら?」
「…最悪だな。もう一生お前たちと遭うこともないと思っていただけに…な」
絶望的状況にもかかわらず、憎まれ口を叩くマドカに対して、スコールは軽くため息を吐いた。
「4年ぶりの再会なのに随分な言い草ね?」
「生憎貴様らよりも優秀な師匠を見つけたのでな。一刻も早く訓練の続きを受けたいんだが?」
マドカの執着ぶりを聞いて、スコールは彼に引導を渡した際の光景を思い出す。どうやら、一度この子を絶望の淵へ叩き落とさなくてはならないらしい。
「彼、死んだわよ?」
「え……?」
あっけからんと告げるスコールの笑顔に、マドカの表情から血の気が引く。それは彼女が、スコール・ミューゼルがどの様な女かということを理解しているからだ。マドカの知る彼女は、こういう状況での冗談は好まない。
「二発ぶち込んだだけで呆気無く死んでしまったわ」
「嘘だ!!ラシャが死ぬはずがない!!」
「これを見ても?」
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