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殺人鬼inIS学園
番外編:殺人鬼の昔話1 中
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の末端から冷気のようなものに蝕まれ、口渇と呼吸困難に喘いでいる様な錯覚に陥ったマドカは、何とか椅子から転げ落ちるという最悪の事態は免れた。

「すまんな、実に恥ずかしい話だが、定期的に誰かをぶち殺さなきゃ発作が起きる様になっててね。所謂性格破綻者にして殺人鬼というやつだ。実はこれでも抑えてる方でなあ。まあ、昨日ぶっ殺したばかりだから最低でもあと一週間は穏やかに暮らせるだろうけどな」

 ラシャの殺人鬼としての一面のカミングアウトは唐突だった。マドカは本能的な危機を感じ取り、距離を取ろうとしたが折れた骨が悲鳴を上げて思うように体が動かなかった。

「よせよ、その傷は治るのに時間がかかる。寿命を縮めたくなかったら大人しくしとくのが吉だぞ」

「くっ、どうせ私を殺すのだろう?」

「話を最後まで聞け、俺はお前を殺さない」

 ラシャはポケットから回収しておいたロケットをマドカに投げて渡した。マドカは慌てて損傷がないのか確認し、怪訝な表情を浮かべる。その表情を読み取ったラシャは淡々と告げる。

「破損した部分は直しておいた、それは俺にとっても重要なものらしいからな」

「どういうことだ?」

「その写真の女性だが、何か見覚えがある。ひょっとしたら俺の過去が判るかもしれない」

「……」

「いきなり唐突で済まないと思っている。到底受け入れられる事を言っていないということも。だが、俺は帰らなきゃならないんだ。この人の居るところへ!!」

 ラシャの言葉は徐々に熱を帯びていき、久しく感じていなかった興奮を彼の心臓にもたらしていく。

「だから君に訊こう、『彼女と君は何者だ』と」

「……私については答えられない。だが、その女については答えられる。彼女は織斑千冬……日本にいる」

 ラシャはその言葉を味わうように深呼吸をする。咀嚼するように諳んじる。

「チ、フ、ユ。オ、リ、ム、ラ?なんだろう、初めて聞くのに懐かしい」

 彼の反応にマドカは露骨に怪訝な表情を浮かべる。

「奇妙なやつだな、今の御時世では有名人だぞ?」

「そういうものなのか?」

 真顔で首を傾げるラシャに対してマドカは更に訝しみ、正気を疑った。今の世を引っ掻き回しているインフィニット・ストラトスについてまるで知らなさすぎる。意図的にそれらと隔離されてきたかのような反応だと感じるほどに。

「お前がとても世間知らずだということが分かった。ISさえ知らないというのは致命的だぞ」

「らしいな、こうしてソニー・ビーンの様な世捨て人同然だったのもそうかもな」

「全然笑えん……さて、そろそろ御暇させてもらおう。サンドウィッチは美味かった」

 マドカはそう言うと席を立った。

「何処へ行くんだ?せめて傷ぐらいは
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