ぶつかり合う竜
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を回復させる。
「ダイバ君……私の気持ちに応えてくれてありがとう。すごく嬉しかったよ」
ジェムが目を逸らされないようダイバの正面に回って言う。ダイバはしばらく無言でそれを見つめていたが、おもむろに手をジェムの方に伸ばした。握手してくれるのかなとジェムが期待して自分も手を出した瞬間――ダイバの掌がジェムの頬を叩く。
「いたっ!? 何するの!」
「僕は命令通りにしろって言ったのに命令を無視した。バトルで勝ったとはいえ、約束を破ったのは許さない。後……最初あったときに殴られたお返し」
そしてすぐにダイバは帽子を深く被って無理やり目線を合わせなくした。さっき最初にほっぺを叩いた事をまだ根に持っていたのか、とジェムは思う。だけどその後、蚊の鳴くような小さな声で呟く。
「だからその……あの時、メタグロスで殴って、ごめん」
「へ……?」
つまり、今殴ったのは本当はダイバが怒っているからではなく。戦いの途中でジェムがダイバに殴られた事に対して自分も叩いたと言ったことを帳消しにして謝りたかったから?
「ねえ、それってどういう意味――」
「……それ以上聞かないで、これは命令」
「もう……わかった、じゃあやめとくね」
言いたくないらしいダイバに対してジェムは軽くフード越しに頭を撫でる。自分から言うつもりがないなら、好きに解釈しておこうと思った。
「じゃあドラコさん、約束通り教えてもらうわ。上で何があったの?」
「……」
ポケモンを回復し終わりドラコの方を見るジェム。しかしドラコは喋らない。ただジェムとダイバを見ている。
「……やっぱり最初から教えるつもりなんてなかったんだよ。さっさと上に行って確かめよう」
「ふふ……約束は守る。ただ貴様らの様子が微笑ましかったので見ていただけだ」
「……殴っていいかな」
「駄目よ!?」
ダイバがムッとした顔でドラコを睨み、慌ててジェムが止める。戦えるポケモンがいないはずなのにドラコは全くもって余裕のままだった。その態度はバトル中の険のあるそれと違って大分穏やかで、少しネフィリムさんに似ているとジェムは思った。
「といっても大した情報は明かせんがな。まず第一に余計なことは喋るなという命令がかかっている」
「……命令?」
ドラコには似合わない言葉だ。他人の命令で動くようにははっきり言って見えないしかかっているという言葉も変だ。
「……あのアマノとか言う催眠術師?」
「さすがに頭は回るな。肯定は出来んが否定もすまい」
「あの人……ドラコさんにまで!」
見当を付けたダイバの言葉を事実上認めるドラコ。ジェムの心を弄ぼうとした男の事はジェムもまったく許していない。ドラコに
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