暁 〜小説投稿サイト〜
Love Me Tender
第五章

[8]前話 [2]次話
 俺にフレンドとしても話す様になっていてだ、俺にこう聞く様になっていた。
「マスターは結婚しないの」
「したいさ」
 俺は少し苦笑いになって答えるのが常だった。
「俺にしてもな」
「けれどなのね」
「ああ、そうさ」
 そう思っていてもだ。
「相手がいないんだよ」
「それが問題なのね」
「相手がいればな」
 俺はピラールに苦笑いのまま答えた。
「俺もいいんだがな」
「じゃあね」
「じゃあ?」
「私のお姉ちゃんどう?」
 ピラールは笑ってこう言ってきた、丁度この時俺達は店を閉めて掃除をしている時だった。
「同じカレッジ卒業して今は石油会社で事務やってるけれど」
「インテリかい?」
「かというとそうでもないわよ」
「じゃあピラールと似た感じか」
「そうよ」
 膝までのスカートのウェイトレス姿で言ってきた。
「よく似てるわ」
「性格も外見もか」
「ちなみに私彼氏いるから」
 ピラール自身はというのだ。
「生憎だけれどね」
「ははは、そっちは幸せにな」
「ええ、それでね」
「姉さんをか」
「よかったら紹介するけれど」
「じゃあ頼めるかい?」
 俺はピラールに即答で返した。
「紹介してくれるかい?」
「それじゃあね」
 こうしてだ、俺は店の休日にヒピラールの姉さんと会うことになった。滅多に着ないスーツで着飾ってそうしてだ。
 駅前に行くとだ、そこにだった。
 ピラールを少し年上にした感じのスーツとタイトスカートの美人がいた、横のピラールが俺に笑顔で言ってきた。
「私のお姉ちゃんよ」
「はじめまして」
 その美人さんも俺に笑って挨拶をしてきた。
「いつも妹がお世話になっているとか」
「はい、こちらこそ」
 俺は接客の時の態度で応えた。
「よく働いてもらってます」
「それは何よりです」
「はい、それで今日は」
「私も妹から紹介されまして」
「では」
「後は二人でね」
 ピラールはここで俺達と距離を開けてきた、そのうえでの言葉だった。
「楽しくね」
「おい、もうか?」
「そうよ、邪魔者は退散するわ」
「それで何処に行くんだ?」
「適当な場所にね」 
 笑ってこう言ってだ、そしてだった。
 ピラールは明るい笑顔で何処かに行った、後で聞いたら近くで待ち合わせしていた彼氏とのデートに行ったとのことだ。そして俺は。
[8]前話 [2]次話


※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりをはさむしおりを挿む
しおりを解除しおりを解除

[7]小説案内ページ

[0]目次に戻る

TOPに戻る


暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ

2024 肥前のポチ