第三章
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「ちゃんと言っておくね」
「嘘は言わないか」
「嘘ってばれるね」
「ああ、バイトしてたらな」
そのうちにだ、化けの皮なんて剥がれる。働いているのを見れば具体的にどんな奴かわかってくる。
「わかるさ」
「だからもうな」
「今のうちからか」
「言っておくよ」
どうして前の店を辞めたのかをというのだ。
「ちゃんとな」
「そうか、それでウェイトレスはか」
「ちゃんと出来るよ」
「経験者か」
「そういうことだよ」
「わかった、じゃあな」
「採用かい?」
「経験頼りにしてるな」
俺は不敵な笑みでだ、こう返した。
「これからな、それであんたの名前は」
「ピラール、ピラール=アントンさ」
予想通りヒスパニックだった。
「じゃあ今から宜しくね」
「それじゃあな」
こうして早速だった、俺はそのピラールにウェイトレスとして入ってもらった。そしてだった。
働いてもらったがこれはだった。
「いいな」
「そうですね」
「言うだけはありますね」
店のスタッフ達も感心した、その働きぶりに。とにかく的確によく動いてくれる。ついでに言うとウェイトレスの格好も似合う。
「充分ですよ」
「いい感じです」
「しかも顔もいいしな」
俺は笑って言った。
「これはいいのが来たな」
「全くですね」
「じゃああの娘はこのままですか」
「働いていきますか」
「そうしていきますか」
「ああ、そうするな」
俺は実際にこう言ってだ、そしてだった。
ピラールを雇った、まさにすぐに。するとピラールの自己宣伝通りにだ。
ピラールはテキパキと動き接客も応対も十分だった。レジも出来るし皿洗いも掃除も万全だった。
それでだ、俺はピラールに笑ってこう言った。
「俺は神様に感謝してるぜ」
「私がお店に来たことを?」
「ああ、いいウェイトレスが入ったぜ」
「私も神様に感謝してるわよ」
かく言うピラールも言ってきた。
「心からね」
「それはどうしてだい?」
「いいお店に来られたからよ」
だからだと言ってきた。
「それでよ」
「うちがか」
「ええ、奇麗だしお店の人達はいい人達だし」
「金払いもいいしかい?」
「ホワイトなお店ね」
「そうしたことはしっかりしないとな」
俺はピラールに明るく笑って答えた。
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