第四章
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「全く、変な時に会ったわね」
「お兄さんと一緒の時に」
「だからっていうの」
「折角荷物持ちで連れて来たのに」
兄を見てクラスメイト達に言った。
「それで会うなんて」
「いや、そのことまで言うんだ」
「実際そうじゃない」
兄を見据えて告げた。
「そうじゃないと誰が一緒に来てとか言うのよ」
「それでなんだ」
「あと虫除けよ」
この為にも連れて来ているというのだ。
「それで連れて来てるのよ」
「虫って言い寄る男とか」
「女子高生一人歩いてたら危ないでしょ」
例え部屋のすぐ近くのスーパーでもというのだ。
「用心してるのよ、これでも」
「そうだったんだ」
「そうよ、そういえばあんた達も社宅近所だし」
彩加はまた自分のクラスメイト達を見て言った、やはりバツの悪い顔になっている。
「この辺りでも何度か会ってるし」
「ここで会うのも普通よ」
「そういうことよ」
「そうね、まあね」
ようやくだ、彩加は現実を受け入れて友人達に言った。自分と同じ様な髪型やファッションの彼女達に。
「今日のことは今日のことでってことで」
「そう言うのね」
「隠さないわね」
「隠したって仕方ないでしょ」
野暮ったい外見の兄を見ての言葉だ。
「お兄ちゃんと二人暮らしなのも言ってるし」
「いつもね」
「そうしてるしね」
「見てのままだし」
その兄とスーパーで買い出しに出ていることもだ。
「それでよ」
「そうなのね、じゃあね」
「またね」
「明日学校でね」
「ええ、明日ね。じゃあ今晩は」
あらためて夕食のことを考えた。
「水炊きね」
「それにするんだ」
「鶏肉もお野菜も特価だし」
スーパーのチラシでチェックしている、既に。
「だからよ」
「それでなんだ」
「そうよ、身体もあったまるし」
このこともあってというのだ。
「いいからね」
「だからなんだ」
「今日は水炊きにするから」
「それじゃあ」
「ええ、買ってね」
友人達にあれこれ言われて多少げんなりとしているがそれでも言うのだった。
「夜に作るからね」
「それじゃあね」
「またね」
ここでクラスメイト達も挨拶をしてきた。そのうえで別れたが。
耕太は二人に戻ってからだ、彩加に顔を向けて問うた。
「学校で僕のこと言ってたんだ」
「そうよ」
妹は兄に顔を向けて答えた。
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