第一章
[2]次話
博打地蔵
藤浪耕太と彩加の兄妹は同居し続けている、研究者として技術者としては有能だが生活はいい加減なこと極まりない耕太は奇麗好きで健康志向の彩加によりその生活を無理に一新させられた。
食事も生活習慣も完全にあらためられた、部屋は奇麗になり彼は毎日風呂に入り歯を磨き煙草を止められしっかりとした食事を摂らされていた。
それでだ、妹にいつもこう言われていた。
「奇麗にしっかりとした生活を送らないと」
「早死にするっていうんだ」
「そうよ、そもそもね」
妹は兄と共に食事を摂るときによく言っていた、自分が作った健康を念頭に置いたその料理を食べつつ。
「お兄ちゃんは学者馬鹿過ぎてね」
「生活はっていうんだ」
「そうよ、昔から酷くて」
そしてというのだ。
「私がここに来るまでもだったでしょ」
「まあね」
「コンビニ弁当とかインスタント食品とか」
「楽だから」
「楽でもね」
即座に反論する彩加だった。
「そんなことをしたら」
「早死にするんだ」
「しかも煙草やたら吸ってビールガブガブだったんでしょ」
「うん」
耕太も否定したい、その野暮ったい顔で頷く。見れば整った顔立ちの妹と正反対だが彼は父親似で妹は母親似なのだ。
「そうだよ」
「しかも歯磨きも入浴もしない」
「そっちも健康に悪いんだ」
「そっちは不潔よ」
それになるというのだ。
「どっちも駄目過ぎるわよ」
「それこそ」
「そうよ、若し私が来なかったら」
「生活このままだよ」
「駄目過ぎるわ、ただね」
ここでこうも言った妹だった、自分が作った八宝菜を食べつつ。
「無駄使いはしていなかったのね」
「ああ、それはね」
「お酒や煙草はしていても」
「別にね」
耕太も八宝菜で御飯それも十六穀を入れたそれを食べつつ言った。
「使う理由もないし」
「漫画にプレステはしてても」
「ライトノベルも好きだよ」
「どれもお金かけてるかっていうと」
特製フィギュア等を買ってもだ。
「それはしないのね」
「無駄使いは昔からしないよ」
それはとだ、耕太も答えた。
「別にね」
「それはいいことね」
「僕もそう思うよ」
「ええ、ギャンブルとか麻薬とか風俗通いに手を出さなくて」
「先の二つは論外じゃ」
「特に麻薬はね」
「最初と最後もよ、特にね」
ここで彩加が言うことはというと。
「ギャンブルは駄目よ」
「あれはすぐにお金減るそうだね」
「減って減ってね」
それこそというのだ。
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