百十四 こめられた想い
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叫ぶと、封印の祠があった岩山へと一目散に駆けてゆく。
自分達の事などすっかり無かったかのようにナルトがいるであろう方向へ走り去る白と君麻呂の背中を、彼らを安全な場所へ運んだ黄泉配下の生き残り――クスナとシズクは呆然と見送っていた。
もはや岩山というより火山と化した其処はもう、祠など見る影も無く、ただ濛々とした水蒸気だけが垂れ込めていた。勿論、白と君麻呂が相手にしていた幽霊軍団は欠片ですら残っていない。そもそも、ナルトの殺気により祠前の青銅の武人達は一つ残らず、崩れ去っていた。
自らの危険も顧みず、噴火する山の中へ突っ込もうとする白と君麻呂は、見知った人物に立ちはだかれて足を止める。その人物を見て顔を明るくさせた白とは対照的に、君麻呂は眉を顰めた。
「…再不斬さん!」
「そこをどけ!!」
自分を押し退けて火山へ行こうとする君麻呂を見て、再不斬は呆れたように苦笑した。
「相変わらず、ナルト以外には不愛想だな、おめぇは」
「いいからさっさと…ッ」
「そんな焦らなくてもアイツの凄さは知ってるだろーが」
それにほら、と再不斬はくいっと顎で水蒸気の向こうを示す。
白煙に映る人影を見るや否や、白と君麻呂が影目掛けて駆けてゆく。それを、やれやれ、と眺めていた再不斬もまた、内心は胸を撫で下ろしていた。
ナルトの無事に対してではない。妖魔【魍魎】を消滅させた事でもない。
そんなもの、ナルトなら完遂させると最初から知っている。
再不斬がほっとしたのは、自分と同じく鬼の国の遺跡で幽霊軍団と対峙していた少年少女達のお守から解放される事に対してだった。
ナルトの殺気による寒波で気絶した香凛・多由也・次郎坊・ドス・キン。
辛うじて気を失わずに済んだ水月と共に彼らを安全な場所へ運んだ再不斬は、真っ先に意識を取り戻した香凛によって、沼の国の祠にまで出向く羽目になった。
感知能力が高い香凛は先ほど感じた寒気がナルトの殺気によるものだと即座に察し、彼がいるであろう封印の祠目指して飛び出していったのである。
当然、恋敵である多由也も負けじと駆け出し、一応ナルトから纏め役を頼まれている再不斬もまた、沼の国へ行かざるを得なくなったのだ。
その結果、白と君麻呂に再会したわけだが、正直言って、この一癖も二癖もある子どもらの保護者になるのは御免だった。
とは思うものの、どうせ俺がこいつら纏めなきゃいけないんだろうな、と諦め半分に溜息をついた再不斬は、比較的大人しい次郎坊・ドスとキンを後ろに引き連れて火山の方へ歩き出す。
言うまでもなく、香凛と多由也はとっくにナルト目指して走り去ったし、水月は変わり果てた地形を楽しそうに見渡している。
改めて溜息をついた再不斬は白煙の
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