第9話
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少年は【調律の魔術師】をもう一度見て、懐にしまい込む。少年が案内を再開してDホイールが置いてある場所に連れられる。
「なっ、違うDホイールだって!?」
「どうかされましたか?」
「今日のデュエル用のデッキ、練習に使ったDホイールに装着したままだ」
少年が青い顔をして頭を慌てて下げる。
「あっ、説明をし忘れていました。申し訳ありません!!」
「取りに行って間に合うかい?」
「いえ、もう10分で試合が。取りに行けば20分はかかります」
「そうか。ならば5分でデッキをでっち上げる!!」
急いで控室に戻りサイドデッキと余っているカードを広げて必要なカードを取捨選択して素早くデッキを組み立てる。下手なコンボを考えている暇はない。この大会のことも考えて試合ではなく大会を1つのステージに仕立て上げるマイクパフォーマンスも適当に組み立てる。
「君はデッキを取ってきてくれるかい。試合まではマイクパフォーマンスで繋げるから、観戦はできるはずさ」
「ですが」
「なぁ〜に、こういう逆境で燃え上がらずにどうするのさ。それにデッキは仕上がった。君も急いで」
55枚のレギュレーションも確認し終えてDホイールが置いてある場所まで戻ってデッキを装填する。司会のメリッサさんの紹介と共にアクセルを全開にして会場に飛び出す。スタート位置に着いた後、キングの紹介が始まり、1輪のDホイールに乗って颯爽と現れる。
「キングは1人、このオレだ!!」
う〜ん、格好いいな。そしてやっぱり口下手みたいだ。理解してくれる人がいないのが原因だろう。こういう人に限ってデュエルでは饒舌なんだよな。そんなことを思いながら、キングを挑発する。
「キングの座はどうでもいいけど、ピエロは1人、このオレだ!!」
会場の張り詰めていた空気がオレの台詞で変な笑いの空間に早変わり。キングへの注目が全部オレに集まった。
「ふん、自分で笑い者になりにきたか」
「ピエロは観客を笑わせるのが仕事さ。だけどな、サーカスでは一番重要な役割を持った配役でもある。こうやって日常から非日常への案内人で、夢を見せる大切な役割だ。笑われてるわけじゃない。オレが笑わせたんだ。貴方なら、オレが言いたいことが分かるはずさ」
「お前」
「皆と一緒に楽しむ。それがオレのデュエルだ」
「くっ、くははははは、良いぞ!!お前となら最高のデュエルが出来る!!」
「オレもそう思う。だけど、今日は前菜だ。オレの一端を見せるだけ」
キングにだけ聞こえる小声から会場中に伝わるぐらいの大声に変える。
「本日はフレンドシップカップにお招き頂きありがとうございます。この度はこのシティとオレの住む舞網の間での友好関係の構築のためにはるばるやっ
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