第9話
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ちゃんと見れば優秀だ。低レベルチューナーで闇属性で魔法使い族、サポートカードは豊富で攻撃力も低いので落とし穴系列のカードに引っ掛かりにくい。何より可愛い。キングも中々良いセンスを持っている。
「良いカードじゃないか」
「っ!?貴方までそんなことを言うんですか!!」
案内の少年が激怒するが、デュエリストとしてのレベルが低いんだろうな。デュエル語もほとんど扱えないんだろう。オレは直接会って、そういう風に言われて渡されたわけじゃないけど、キングが言いたかったことは完璧に分かるもの。
「レベル1、闇属性、魔法使い族、攻撃力400、チューナー。サポートカードは豊富で相手の除去から逃れやすい。良いカードだ。効果は癖が強いけど、逆に言えば、使いこなせればデュエリストとしての腕が上がっているという証拠にもなる。キングはこう言いたかったんだろう。これを使いこなして伸し上がって来いって。与えられるんじゃない、自ら勝ち取れって」
「そんな簡単に言わないで下さい!!僕らにはカードを買うことすら難しいのに。それなのにどうやって勝ち取れって、あいた!?」
不平不満しか口に出さない少年にでこぴんを御見舞する。
「キングだってコモンズのスラム出身だったんだろう。皆が諦めていく中で、頑張って、それこそ死に物狂いで、カードを拾い集めた。最初は寄せ集めだったろうさ。それでも少しでも相性の良いカードを、コンボが出来るカードを探して、考えて、勝って、負けて、勝ちの方が多くなって、勝ち続けて、そしてキングになった。君はキング以上に努力をしたと言えるかい?」
「それは、でも貴方は」
「1年」
「えっ?」
「父さんから貰ったデッキじゃなく、初めて自分のデッキを作って、初めて勝つまでにかかった時間。オレは負け続けたさ。大人だけでなく同年代にも負け続けた。それでも、オレは、オレが作りたかったデッキで勝てるまで諦めなかった。この世に不必要なカードなんて存在しない。そう証明したかった。オレは、キングの気持ちが分かるよ。彼は待っているんだ。最底辺から自分は頂点まで上り詰めた。オレに続けと、彼はずっと待っているんだ。だけど、君みたいに努力することを、登ることを止めてしまう皆を見てがっかりして、それでもここまで来いと何度でも訴える。次の世代は育っていっているんだ。5年かかろうが10年かかろうがキングは、ジャックは待ち続けているんだ」
メモ帳に孤児院の住所を書き込んで渡す。
「ここ数日オレがお世話になっていた孤児院の住所だ。そこに孤児院の皆で拾って作ったデッキを置いてきた。子供達にはデュエルで大事なことを教えた。行ってみると良い。そして、今日のデュエルを見て、ジャック・アトラスに向き合ってみるんだ」
「キングに、向き合う」
それから
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