DQ1・START・STORY
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DQ1・START・STORY
精霊たちが住む異世界。精霊ルビスは失望していた。
本来悪に染まった竜王軍を倒すためにアレフガルドに召喚した若い男女が2人とも亡くなってしまったのだ。
男は彼の妻とともに殺され、女は王妃になるも病死してしまった。
「ああ、このままだとアレフガルドの世界は……」
ルビスは嘆き悲しんだ。自らが創りあげた世界が今や滅亡の危機になった。
実際、アレフガルドでは、ドムドーラと幾つかの名も無い小さな村が竜王軍によって滅ぼされたのだ。
竜王軍を倒す勇者…ロトの血を引く勇者はもう、途絶えてしまったのか…?
しかし、そのときだった。
「ルビス様!…ロトの血を引くものがまだ一人だけ生き残っています!」
ルビスに仕える一人のエルフが駆け寄ってきた。
「まだ幼い男の子ですが、あと10年経てば…それともルビス様、10年は長すぎでしょうか…?」
「いいえ。10年なら何とかなります。それまで、彼が生きていれば…!私は彼に託します…!」
ルビスは水晶玉の中を覗く。そこにはまだ幼い男の子の、元気な姿が映っていた。
「…貴方は、いつか勇者として目覚めるのですよ…」
力強い眼差しで、その男の子をじっと見ていた。
あれから10年。その男の子は16歳の青年となった。
真夏の暑い日、16歳の誕生日を迎えたばかりの青年は国王に呼ばれた。
「おい、お前、何か不祥事でもやらかしたんじゃないか?」
青年は“ラダトーム戦士団”に所属していた。それは、ラダトームをはじめ、アレフガルドを守るための、ラダトーム兵とは違った存在の団体だ。
「違うだろう?こいつは俺たちと違って真面目だったんだ。2年間も城に住み込んで働いていたんだぜ?生みの親も養母も亡くして大変な思いをしてるんだ。無理やり入れられた俺たちとは違うぜ」
「そうだけどよ…」
「さあ、ね…。どうして僕が呼ばれたのか、皆目見当もつかないよ」
呼ばれた青年は苦笑いをしながら、城の兵隊たちに連れられ、城の奥の部屋に入っていった。
青年は連れられた部屋で何が起こるか不安になっていた。
「あの、僕、牢屋に入れられるんですか?」
「馬鹿いうな。真面目なお前が何で牢屋行きなんだ。もっとも、俺にもよく分からんが。とにかく、王の命令でこれを身に付けろといわれた」
「……は?」
青年はきょとんとしていた。これを身に付けろ?どういうことだ?
と、青年の目の前には紺色の角兜と、鎧があった。それは戦士団の鎧兜と違って、マントもついており立派なものだった。
(出世?いや、僕はまだ16を迎えたばかりだよ。僕みたいな若い人が…?)
不思議に思いながら、青年は用意された鎧兜を身に付けていく。
そして出来上がった姿は、まるで勇者のようだった。いや、彼こそが勇者なのだ。
「…
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