暁 〜小説投稿サイト〜
提督はBarにいる・外伝
美保鎮守府NOW-Side B- PART1
[1/3]

[8]前話 前書き [1] 最後 [2]次話
〜ブルネイ第1鎮守府・大淀の手記より〜

 今日、奇妙な辞令が提督に下った。1年以上前に行った演習相手の鎮守府を視察し、演習の効果を評価せよという物だ。その目的、視察先のどちらもが不可解だった。しかも辞令は軍令部からではなく元帥閣下からの直接の辞令。拒否が出来る類いの代物ではなかった。提督は

「面倒くせぇなぁ」

 とぼやきながらもニヤニヤと不敵な笑みを浮かべていた。あの顔は何かしでかそうとしている時の顔だ。そもそも、あの時行われた演習は正規の演習相手ではなく、相手の証言を全面的に信用するならば過去の美保鎮守府からやって来た艦隊だったのだ。その鎮守府の『現在』を視察して元帥閣下は何をさせようというのか?

「とりあえず、事前調査がいるな。まぁ青葉にでもやらせとけ」

 との指示を受け、青葉さんに美保鎮守府についての事前調査をお願いした。勿論、相手方に気付かれないようにではあるが。




 数日後、視察の詳細が送られてくる。随行員は3名、今回はあくまでも視察である為、提督の護衛がメインの人員を選ばなくてはならない。

「当然私は付いていくネー!」

 と名乗りを挙げたのは金剛さん。まぁ、鎮守府最高錬度である上に提督の妻である彼女は妥当な線だろう。

「青葉も行きますよ〜!」

 鼻息が荒くなっているのは青葉さん。まぁ、彼女も妥当だろう。事前調査をした張本人であるし、諜報も実戦もイケる彼女は視察団の面子としては最適だ。問題は残る1人。

「提督、何で私なワケ?」

 選ばれた本人は憮然とした顔で、不満そうだった。

「まぁそうむくれるなよ、川内。今回は演習ナシの視察だ、要するに艤装の持ち込みは基本的に出来ん」

「だから?」

「だから鎮守府屈指の近接のプロを連れていく。合理的だろ?」

 提督の説明に少しは納得したらしい川内。

「それに……」

 ゴショゴショと何やら耳打ちすると、川内は目を見開き、

「ちょっと提督、それ本気?」

「おぅ、マジもマジ。貸しはキッチリ利子まで取り立てるのが俺の流儀だからな」

「そっか、なら私と青葉が必要だよね」

 と、提督と青葉と川内。三人揃ってグフフフと悪い笑みを浮かべていた。不安だ、物凄く不安だ。美保鎮守府逃げてぇ!超逃げてぇ!と言いたい。しかし向こうが呼んでいる上に拒否できないお膳立てまでされている。完全なる詰みである。

「大淀、darlingがああなったら止められないネー。人間諦めが肝心ヨ?」

 そう言って語る金剛さんの目は、悟りを開いたかのような優しげな目だった。あれは何をやっても無駄だという諦めの境地だったのかもしれないが。





 その後、提督は視察に向かう当日まで明石と何やら怪しげ
[8]前話 前書き [1] 最後 [2]次話


※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりをはさむしおりを挿む
しおりを解除しおりを解除

[7]小説案内ページ

[0]目次に戻る

TOPに戻る


暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ

2024 肥前のポチ