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STARDUST唐eLAMEHAZE
第三部 ZODIAC CRUSADERS
CHAPTER#50
FAREWELL CAUSATION]〜Made in Inferno〜
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【1】



 ゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴ……
 ゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴッッッッ!!!!
 ゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴ!!!!!!!!!


 この世為らざる場所。
 冥劫の世界、常闇の大陸にしか存在添し得ない暗黒大樹。
 光浴び糧を生み大気を澄ます現世の本質とはまるで逆、
曠野(こうや)を搾り瘴気を穢し地竜を()らう生態階層の最頂点に位置するモノ。
 意志も無ければ目的も無い、ただ無造作(ランダム)な法則のみによって動き、
遭遇した者を無分別に(ころ)す、後には認識すら遺らない。
 その強大さは正に紅世の 【真王(しんおう)】 と呼んでも過言ではなく、
嘗ての王やフレイムヘイズが束で掛かっても、
それこそ彼の【殺戮の三狂神】 或いは亜の【悪魔皇】
と呼ばれる男でもなければ対抗出来ない。
 ソレを支配するは一人の少女、永劫の虚無に囚われ、永遠の喪に服する。
 亡くしたモノを 『認識していながら』 それでも探し続ける狂憐の【愛染双真】
 もう彼女の心には、雨が降る事さえない。
 その裡に確かに、最愛の者が存在しているコトを知らないまま。
「うっ……ぐぅ……!」
 数秒ではあるが完全に意識が飛んでいた創痍の少女は、
素肌に砕けた甲冑の残骸を被った状態で意識を覚醒させた。
「際どかった……鎧がなかったら、全身粉々だった……!」
 能力の解らないスタンドへ迂闊に攻撃を加えてはならない、
スタンドバトルでは当たり前の定跡であるが
アノ時生まれつつ在るモノを畏れた彼女の選択を誰も責める事は
出来ないだろう。
「でも……ッ! どうしろっていうの……!?
あんなモノ……あんなモノ……!
もう、どうしようもない……ッ!」
 地竜をも呑み込む極大存在(ファフニール)、全力を尽くさばアノ “甲鉄竜” すらも、
ソレを覚醒双力を携えたとはいえ、一人の少女が討ち果たそう等とは、
年端もいかぬ幼子が時間を逆行させるスタンド使いに挑むに等しい。
「一人、じゃ……」
 意志とは無関係に、今一番傍に居て欲しい者の風貌が浮かぶ。
「一人じゃ……!」
 でも、護らなきゃ……!
 傍に居て欲しいけどそれ以上に眠っていて欲しい、
こんな恐ろしい存在の事など知らなければいい。
 知れば戦ってくれるから、何がなんでも護ってくれるから。
 だから!
「一人でもッッッッ!!!!」
 生まれたままの姿、たった一振りの大刀を片手に少女は立ち上がった。
 双眸が深度を増し、炎髪が火旋を放ち全身を(おお)う。
再構成される甲冑、空間を焼き払う紅蓮の火噴き、
気高き意志在る限り人間の精神の力は無限、
それを顕すかの如く少女の存在は一面の暗黒の中
確かに存在する篝火の如く鮮明に映った。

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