第四十八話 進路を決めてその六
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「それじゃあね」
「よし、今から食うか」
「ええ、長崎にいたら」
優花は龍馬の顔を見つつ微笑んで述べた。
「やっぱりちゃんぽんね」
「何ていってもな」
「私もよく食べるし」
今は長崎に住んでいる優花もだ。
「飽きないわね」
「不思議とそうだよな」
「ラーメンやうどんと同じだからかしら」
「主食に近いか」
「それでね」
「飽きないか」
「そうかも知れないわね」
優花は龍馬に笑って応えた。
「ここじゃ」
「だよな、うどんとか蕎麦ってな」
「あまり飽きないわね」
「結構食ってもな」
「私も週に一回はね」
「ちゃんぽん食ってるんだな」
「そうなの」
優花にしてもだ。
「だから龍馬の言うこともわかるわ」
「そうなんだな」
「ええ、じゃあ今からね」
「ちゃんぽん食うか」
「それにカステラもね」
こちらのことは優花から話した、そしてだった。
二人で食べに行った、そこでふとすれ違った女の人が微笑んだ声で言ったのが聞こえた。
「いいカップルね」
「カップル、か」
龍馬はその人の言葉に笑って言った。
「そう見えるんだな、俺達って」
「そうみたいね」
優花も笑って応えた。
「私達って」
「まあ男と女だからな」
「普通にそう思えるわね」
「けれど言えるぜ、誰にも」
龍馬は笑ったまま言った。
「俺達は違うってな」
「ええ、私もね」
「誰にもな」
それこそだ、何の疚しいところもなくだ。
「俺達はカップルじゃなくてな」
「友達ね」
「そうだよ、俺達は友達だよ」
まさにそうした関係だというのだ。
「誰よりも大事な」
「そこは変わらないわね」
「そうだよ、後俺最近な」
「最近?」
「仲のいい女の子が出来たんだよ」
「仲がいいって」
「そうだよ、彼女がな」
そうした相手がとだ、龍馬は優花が案内するちゃんぽんが美味い店に向かいながらこのことを話した。
「出来たんだよ」
「そうなの」
「いい娘でさ、それで御前のことを話したんだよ」
「私の?」
「勿論昔のことは話していないぜ」
性別が変わった、限られた人にだけ話してはならないこのことはというのだ。
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